他社が採用しないのはメリットがないから? それともマネできない? 唯一無二の個性派エンジンとその搭載車3選 (1/2ページ)

ブランドや搭載モデルのアイデンティティになっている!

 現在のクルマは電動化を避けられない状況になっているが、これまでエンジンがクルマのキャラクターを生み出してきたことは否定できない。とくに独創的でユニークなエンジンは、搭載モデルの個性となってきた。そのなかには消えてしまったパワーユニットも少なくない。ロータリーエンジン、直列5気筒エンジン、空冷エンジンなどはいまや新車で手に入る乗用車に見ることはなくなっている。

 ここでは、現行ラインアップから消えてしまったわけではないが、ライバルが真似をしないことで、ブランドや搭載モデルのアイデンティティとなっているパワーユニットを3種類ほどチョイス、そのメリットとデメリットなどを再確認してみよう。

1)スバルのNA水平対向4気筒エンジン

 まず、日本では珍しく感じないが、世界的に見ると貴重な存在である「自然吸気の水平対向4気筒エンジン」について見ていこう。説明するまでもなく、いまや乗用車向けにこのタイプのエンジンを生産しているのはSUBARU(スバル)だけだ。ポルシェも4気筒、6気筒の水平対向エンジンを生産しているが、4気筒についてはターボとなるため、自然吸気という条件をつけるとSUBARUだけになる。

 バリエーションとしては1.6リッター、2リッター、2.5リッターがあり、日本で販売している搭載モデルはインプレッサ、XV、フォレスター、レガシィ、86/BRZとなる。いずれもフロントに縦置きレイアウトされており、FF、FR、AWDと3種類の駆動方式を用意しているのもユニークだ。

 このエンジンのメリットは、とくに86/BRZで顕著だが、エンジンを低くマウントできること。歩行者保護のためにエンジンフードが高くなりがちな昨今だが、水平対向エンジンであればノーズを低くすることができる。また4気筒エンジンとしては振動面で有利なのも見逃せない。デメリットは4気筒エンジンとしては部品点数が多くなり、また重量もかさんでしまう点があげられる。DOHCヘッドの場合、左右にそれぞれ2本ずつカムシャフトが必要となるため、エンジンの幅も広くなってしまう。当然、水平対向エンジンを載せるためのシャシーも専用設計となる。

 現在、重視されている環境性能において圧倒的なメリットがあるわけでもないので、他社はあえて専用プラットフォームを開発してまで水平対向の実用エンジンを作ろうという気にならないのだろう。そのため、SUBARUだけのパワーユニットとなっている。


山本晋也 SHINYA YAMAMOTO

自動車コラムニスト

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