マツダは値引きをしないは単なる都市伝説! それでも販売台数で苦戦する背景にある「黒白」ディーラーの問題とは (1/2ページ)

販売台数は10年ほど前と比較して落ち込んでいる

マツダは値引きをしない」というのが、都市伝説のように広まっているようである。自動車業界関係者以外の一般のひとのなかでも、とくにここ数年の間にマツダ車も含んで新車購入検討をしたひとからもよく聞く話。筆者も仕事柄マツダディーラーへ出かけ、実際に見積もりを取ってみるのだが、「良いクルマなので値引きはしません」みたいなことを遠回しに言ってくるセールスマンに応対されるのはそれほど珍しいことではない。

 それでは実際にマツダ車は値引きが渋いのかといえばそうでもない。車両本体価格からの値引きだけではそれほどでもないのだが、用品値引きや下取り査定額の上乗せなどでの調整による、“値引き総額”レベルで見れば、他メーカー車にけっして見劣りするレベルではない値引き条件も出ている。あくまでもイメージとして、「マツダは値引きしない」というものが広まっているようである。

 マツダ全体の暦年締めでの年間販売台数を見ると、スカイアクティブテクノロジーを採用する直前の2010年(2011年は東日本大震災が発生しているので除外)は22万3861台となっている。その後2012年に一部スカイアクティブテクノロジーを採用した初代CX-5がデビューし、以降スカイアクティブテクノロジーをフル採用した車種を拡充していった。2012年はまだ東日本大震災の影響が残っていたようだが、2015年の24万5487台を最高に2013年、2014年は2010年より販売台数が増えたものの、2016年から2018年までは2010年の販売台数をそれぞれ下まわっている。

 販売実績を見れば、マツダはより台数を多く売るよりは、“1台あたりの利益”を重視して販売しているともいえるのだが、実際は値引きがそこそこ拡大しているので、けっして“値引きをしない”ともいえないのが現状だ。意地悪な見方をすればスカイアクティブテクノロジーや魂動デザインが販売促進にあまり効果を発揮していないともいえる。

 メルセデス・ベンツやBMW、VW(フォルクスワーゲン)などの人気ドイツブランドはすべての車種ではないものの、マツダよりも値引きが拡大するケースも多発している。「良いクルマだから値引きはしません」というロジックが正しければ、これらのドイツブランド車は“良いクルマ”ではなくなってしまう。

 新車はそのものの完成度が高いなど、魅力に溢れていてもそれだけではなかなか売れるものではない。よほどそのクルマに惚れ込んでいるひと以外は、販売窓口であるディーラーサービスなど総合的に判断して購入に踏み切るのである。もちろんそこには、値引きと言うものも含まれる。


小林敦志 ATSUSHI KOBAYASHI

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