TRDとモデリスタのいいとこ取り! TCDが公開した「プリウスPHV」コンセプトモデルの衝撃 (1/2ページ)

足もとには星型のイルミネーションが輝く

 モータースポーツ直系の機能系アイテムを主にリリースしてきた「TRD」、そしてサードパーティに負けないデザイン力を備えた「モデリスタ」。

 どちらもトヨタ直系のワークスチューナーだが、そんな2社と海外向けの車両特装の企画・開発を行なうジェータックスは2018年4月1日に統合、新会社「トヨタ・カスタマイジング&ディベロップメント(TCD)」が誕生した。統合の理由は共通性のある事業を行なう3社のノウハウを結集することでユーザーニーズにより応えるとともに、モータースポーツ活動を支える開発支制の強化だ。

 と言いながらも、会社として統合したが内部までもすぐに統合できていたかというと難しい。しかし、1年以上にもわたる体制/組織変更によりその準備が整った。じつは筆者は昨年の東京オートサロン/大阪オートメッセTCDトークショーで「TRDとモデリスタのいいとこ取りしたコンセプトモデルがあるといいですよね」と話をしていた。

 今回東京オートサロン2020で初公開された「アンビバレント”RD”プリウスPHVコンセプト」はTRDの「技術力」とモデリスタの「デザイン力」がクロスオーバーしたコンセプトモデルとなっている。ちみに車名に冠されるアンビバレントは「両面価値(=ふたつの感情を同時も持つこと)」、RDは「レーシングディベロップメント」と「リファインデザイン」というふたつの意味を持つ。

 デザインはモデリスタが担当。グリルレスで迫力のあるフロントマスクが特徵だ。ブラックアウトされたヘッドライトはボディ上面のグラフィックの一部にすることでデザインのアイコンにもなっている。また、リヤを特徵づける垂直尾翼は戦闘機好きが多いモデリスタデザイナーならではの処理だ。もちろんヒカリモノに関しても抜かりはなしで、なんとフロントパンパ―左右部に点灯するイルミネーションを内蔵する。また、随所に間接照明的なイルミネーションを採用。さらにホイールは星の形に輝く!

 このように未来感ある迫力あるデザインだがスポーティな印象が強いのは、TRDが技術的なアプローチを行なっているからだろう。

 フロントスポイラーは縁石と当たらないように普段はリフトアップし、走行時にダウンさせることが可能な可変式。またバンパー両サイドは透過処理を施している。サイドステップ後方にはスリットを設け空気を通すことで、リヤホイールハウス内の乱流を整流する。同様に垂直尾翼のようなスポイラーも空気の流れをコントロール。戦闘機のような垂直尾翼風の縦型スポイラーを始め、リヤスポイラーはガーニーフラップ、バンパー下部はディフューザーを装着。ホイールは限界まで薄くし、リムスポークの間を装飾するイルミネーションは剛性向上にも寄与しているという。

 ちなみにこれらのアイテムは実際に3Dデータを用い、スーパーGT500マシンを含むレーシングカーのCFD解析チームの協力により微調整も行なわれている。空力操安(=ダウンフォース)に寄与することも確認されている。

 今回はエクステリア提案のため、インテリアや走りに関する部分のアナウンスはないが、その領域も非常に気になる。たとえば、コンフォート/スポーツを大胆に調整可能な電子制御サスペンションの採用などだ。

 誤解してほしくないのはTRD/モデリスタのタッグが量産モデルで展開されるということではないということだ。だがこの協業により両社の知見が高められたのは事実。今後「よりTRDらしさ」「よりモデリスタらしさ」を盛り込んだアイテムたちが生まれてくるに違いない。


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