【万能選手に思って買いたくなるがちょっと待った!】人気のSUVを選んで後悔するケース5選 (1/2ページ)

人気に乗じて買ってしまい後悔するケースも

 このところ、世界的にSUV、クロスオーバーSUVブームが続いている。各自動車メーカーの新型車、それもクラスを問わない多くがSUV、クロスオーバーSUVであることからも、自動車メーカーの儲け頭になっていることは間違いない。

 以前と違い、ライバルだらけのカテゴリーゆえ、各自動車メーカーは最新、最善の技術を詰め込んだ新型SUV、クロスオーバーSUVをリリースしまくっているのが現状だ。

 たしかにSUV、クロスオーバーSUVは視界が高く、悪路や雪道にも強いオールラウンダーな走破性を備え、ラゲッジルームはワゴンのように使えるのだから、オールマイティーのクルマのように思えて当然だ。以前、ミニバンに乗っていて、子離れしたのを機にSUV、クロスオーバーSUVに乗り換えたユーザーも多い。ミニバンの持つ爽快な視界や室内空間のゆとりなどを譲れないのがその理由だろう。

 が、多くのSUV、クロスオーバーSUVは万能ではない。人気に乗じて買ってしまって、後悔することもありうる。

1)シニアな家族がいるケース

 その理由の第一が、フロア、シート位置の高さ。本格SUVはゆとりある最低地上高を確保しているのが普通で、ミニバンなどと違い、フロア、シート位置は高め。家族に足腰が弱ったシニアがいる場合は、こと、乗降性に関してはお薦めしにくい。一例を挙げれば、日産セレナやトヨタ・ヴォクシー&ノア、ホンダ・ステップワゴンのようなMクラスボックス型ミニバンのスライドドアから乗降できる後席のフロア高は、段差のない地上360~390mmとごく低い。足腰の弱ったシニアでも、Bピラー内側にアシストグリップもあるから、そう無理なく乗降できるはず。

 ところがSUVの後席に乗り込もうとすると、まずはスイング式ドアゆえに、乗降間口がミニバンのスライドドアに対してずっと狭い。乗降時にまたぐサイドシルの高さも、マツダCX-5で490mm、低めの部類の入る超人気のトヨタRAV4で465mmと、多くのミニバンに対して100mmほど高く、しかも多くのミニバンのワンステップフロアではなく、サイドシルとフロアに段差があるため、乗降性は特別にいいとは決して言えないのである。

2)シニアな大型犬と暮らしているケース

 大型犬とSUV、クロスオーバーSUVとの相性は抜群だ。愛犬と思いっきり遊べるような場所は、多くの場合、道なき道の先にある。一歩先まで踏み込めるSUVを相棒にすれば、愛犬との楽しみは格段に広がるに違いなく、また、犬が好きな白銀の世界にドライブしやすいのはもちろんだ。

 ただし、それは愛犬が元気でいるうちだ。わが家のラブラドールレトリーバーは今年15歳になるけれど、若く元気な頃と違い、高い場所には登れない。大型犬は体重もそれなりだから、飼い主が介助して高い場所に乗り込ませるのは大変なのである(ぎっくり腰や筋肉痛の原因に)。

 大型犬をラゲッジスペースに乗せている飼い主はとくに注意が必要だ。世界のステーションワゴンのラゲッジフロア高の平均値は約620mm。これならシニア犬でもなんとか乗り降りできるケースもあるし、介助が必要でもそれほど苦労せずには済む。

 ところがミッドサイズのSUVのラゲッジフロアの高さは、ホンダCR-Vの665mm、ホンダ・ヴェゼルの650mmという例外的に低いクルマを除けば700~780mmもの高さになる(一見、ラゲッジフロアが低そうに見えるスタイリッシュなボルボXC40でも750mm)。愛犬の乗降どころか、重い荷物の出し入れもやっかいだ。シニアな人ならなおさらだろう。シニアな大型犬と暮らす人(愛犬は今、若くても、あっという間にシニア犬になる)、重い荷物の出し入れの機会が多いシニアな人は、ステーションワゴンにしたほうが使いやすいかもしれない。


青山尚暉 AOYAMA NAOKI

2023-2024日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員

愛車
フォルクスワーゲン・ゴルフヴァリアント
趣味
スニーカー、バッグ、帽子の蒐集、車内の計測
好きな有名人
Yuming

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