かつてのホンダは凄かった! 踏めば脳天まで痺れる「エンジンのホンダ」を感じさせる名車5選 (1/2ページ)

頭の中が真っ白になるほど運転にただひたすら没頭できる!

 エンジンが気持ち良いメーカーといえば、ホンダを上位に推すクルマ好きは多いはず。ホンダは1980年代後半~90年代にかけてF1で世界の頂点に立ち続けたという、エンジン屋としてこれ以上なく偉大な実績を誇った。F1で培ったエンジン作りのテクノロジーは市販車に広く活かされ、「タイプR」シリーズでは官能的なフィーリングやNA世界最強性能など、他では得難いホンダエンジンならではの魅力をおおいに発揮。クルマ好きから絶大な支持を受けている。

 今の若い人には「ホンダはコンパクトカーとミニバンを得意とするメーカー」というイメージが強いかも知れないが、中年以上の世代にとって、ホンダは今もなお「エンジンのホンダ」なのだ。

 筆者が旧ホンダ・ベルノ店のセールスマンをしていた1996年当時でさえ、すでにホンダの主力商品はクリエイティブ・ムーバーと呼ばれるRV車となっていたものの、スポーツモデル以外に積まれる実用エンジンでも、国産の競合他車より比較的スポーティなフィーリングが得られることもホンダ車の伝統的な魅力。今の主力である軽自動車&コンパクトカーやミニバン、SUVでもこの伝統は継承されている。そんなホンダ車のなかでも、とくにエンジンが素晴らしいと讃えたくなる名車を5台挙げてみた。

1)初代インテグラ・タイプR(DC2/DB8型)

 熟練した職人の手作業による吸気ポート研磨が施されることで話題となった伝説の名機・B18C Spec-Rを搭載。何と言っても凄まじかったのは回転フィールで、VTECのカムが低速用から高速用に切り替わる際のメリハリの強さは歴代VTEC最大といえる。

 低回転域では意外と普通に感じるものの、6000回転から上になるとまるで別物のエンジンに変化したかのようにパワーが炸裂し、サウンドも急激に高周波が高まってそのまま8000回転を超えても頭打ちしないという、異常なまでの高回転型ユニットだった。

 車重は3ドアで1060kgと軽く、サスペンションはノーマルのままサーキットに持ち込めるハードな設定。しかも3ドアは車両本体222.8万円(マニュアルエアコン装着車は15.8万円高)という安さで、4ドアも設定されており、エンジン屋ホンダの真髄が誰でも味わえた。

2)S2000(前期型)

 今乗っても堅牢感に驚かされる高剛性のオープンボディがもたらす走りの質の高さも素晴らしいが、縦置きFR向けに専用開発されたF20Cユニットは、B18C Spec-Rをも超える高回転型ユニットで、ピストンスピードは毎秒23.6mと当時のF1エンジン並みの速さを誇る。そのキレ味の鋭さから筆舌に尽くしがたい快楽が得られた。

 高速カムに切り替わる5800回転から先は、掛け値無しにフリクションがゼロと思えるほど俊敏にタコメーターの針が踊り、ほんのわずかな右足の動きに対して微塵も遅れず瞬時に反応。ややピーキーでスリリングなシャシーセッティングも相まって、本当に頭の中が真っ白になるほど運転という行為にただひたすら没頭できる。マイナーチェンジで排気量が大きくなり、レブリミットは低下。低速トルクが増して乗りやすくなったことが残念と評価されることでも伝説的な存在となった。


マリオ高野 MARIO TAKANO

SUBARU BRZ GT300公式応援団長(2013年~)

愛車
初代インプレッサWRX(新車から28年目)/先代インプレッサG4 1.6i 5速MT(新車から8年目)/新型BRZ Rグレード 6速MT
趣味
茶道(裏千家)、熱帯魚飼育(キャリア40年)、筋トレ(デッドリフトMAX200kg)
好きな有名人
長渕 剛 、清原和博

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