2代目スズキ・ハスラーは新型NAエンジンを搭載! 見た目以上に進化を遂げたメカニズムを徹底解説 (1/3ページ)

ストレスを感じさせない軽快さと低燃費で遠くへ行きたくなる

 初代ハスラーは軽クロスオーバーという独自のジャンルを切り拓いた大ヒットモデルだ。2代目では乗用車としての走行性能・操縦安定性や居住性・快適性、さらには省燃費性など、すべての面でレベルアップさせることが目標となった。

 そのうえで、ハスラーの個性であるクロスオーバーとしての性能(ユーティリティや走破性の高さ)もさらに進化させたい。

 まず、ボディの基礎となるプラットフォームの刷新を図った。エンジンの搭載位置や乗車位置などを最適化したパッケージングとしながら、必要なボディ剛性や衝突安全性能を備えたボディ骨格を採用している。これらの改良により、室内空間を拡大しながら安全性・快適性が高められた。さらに安全運転支援機能もスズキの最新技術が搭載されている。

 走行性能に関しては、新開発となるNAエンジンの採用が大きなトピックと言える。高出力・低燃費を両立したエンジンは、今後のスズキの基幹ユニットとなるだけに注目される。そして、ターボエンジンとともに全エンジンがハイブリッド仕様となっているのも特徴だ。これからの「軽自動車高速化時代」では長距離移動が当たり前になる。そのために、日常使いから高速道路まで幅広い速度域で高い燃費性能とスムースな走りを実現しているのだ。

 新型ハスラーに搭載されるパワーユニットは、NAエンジンとターボエンジンの2種類。駆動方式は2WD(FF)とフルタイム4WDが、それぞれのエンジンに設定されている。トランスミッションは全車でトルコン式ロックアップ機構付きのCVTとなる(マニュアルミッション車の設定はなし)。

 NAエンジン(R06D型)は新開発で、スズキとしてはハスラーへの搭載が初めてとなる。3気筒12バルブ・DOHCエンジンは従来型(R06A)に比べてロングストロークとなり、燃焼室の圧縮比も高められ、12:1に設定された。デュアルインジェクションシステムにより、混合気を均質化することで燃焼効率が向上。吸気ポートの形状を最適化し、吸気の強い渦を発生させることで急速燃焼を実現した。

 また、クールドEGRの採用により再循環ガスを冷却することで燃焼温度を抑制し、ノッキングの発生が抑えられることで点火タイミングが最適化された。

 ターボエンジンに関しては、エンジン型式こそ先代ハスラーと同じR06A型だが、アルトなどに搭載されているユニットと同様の最新型となる。スペック上の数値も同じだが、今回は、ハイブリッドシステムおよびトランスミッションが変更されたことに合わせて、セッティングの最適化が図られている。

 そのハイブリッドシステムについては、バッテリー容量は従来型と同じだが、モーター出力を向上させている。NA用は1.6kWから1.9kWに、ターボ用は1.6kWから2.3kWとなり、より高出力のモーターアシストが行えるよう改良されている。

 トランスミッションは、全車にCVTを採用する。新開発のCVTは、プーリーでの変速比幅を広げ、副変速機を廃止することができた。スズキで初採用された2ポートオイルポンプにより、油圧の管理を最適化。従来のオイルポンプでは、高圧での送油が必要な状態に合わせてポンプ容量を設定していたが、2ポートオイルポンプでは高圧時・低圧時を切り替えることで、ポンプの仕事量を低減し、燃費が向上した。

 そのほか、高効率ベルトの採用によりフリクション低減を実現している。また、低回転域の回転変動を吸収しやすいトルクコンバーターの採用により、静粛性および燃費が向上。アイドリングストップやアダプティブクルーズコントロールといったシステムとの連動を考慮した、最適な変速プログラムが組まれている。

 駆動システムでは、2WDとフルタイム4WDを設定。4WD車ではビスカスカップリング式のシステムにより、前後の駆動力配分をリアルタイムに最適化。雪道走行時などにタイヤの空転を抑える「スノーモード」、急な下り坂で車速を自動制御する「ヒルディセントコントロール」、滑りやすい路面での発進をサポートする「グリップコントロール」といった機能も備えている。


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