セダンの復権を狙うがあえなく撃沈! 1代限りで消えた「残念な」21世紀のチャレンジャー4選 (1/2ページ)

オーソドックスに留まらないチャレンジ精神あふれるモデルも!

 セダン冬の時代と言われるようになって久しい。クルマの基本はセダンと言う声もあるが、もはやフォーマルなシーンで使われるショーファードリブンか、セダン以外の選択肢は考えられないという一部のファン向けの商品となりつつあるようにも感じる。

 そんな風潮は、いつ頃から始まったのか。思えば、ステーションワゴンやクロカン四駆が一部のマニアではなく多くのユーザーに売れるようになった1990年代にはセダンが主役の座から降りることは決まっていたのかもしれない。とはいえ、メーカーはセダンのニューモデル、新潮流を生み出すことを諦めたわけではなかった。いくつもの挑戦があった。

 ここでは、そうした時代に抗うように21世紀になって登場、しかし一代限りで消えてしまった不遇のセダン4モデルを紹介しよう。

1)トヨタ・ヴェロッサ(2001~2004年)

 トヨタの4ドアセダンとしては中堅的なモデルであり、一億総中流といわれた時期にはもっとも売れたモデルでもあった「マークII」最後の姉妹車として2001年に登場したのが「ヴェロッサ」だ。それまでマークIIの姉妹車といえば「クレスタ」、「チェイサー」が知られていたが、その2モデルを統合する後継モデルというポジションで生まれたブランニューモデルといえる。

 コンサバなマークIIに対して、スポーティであったりエモーショナルであったりといった個性を強めたデザインは、アクが強く3年足らずで生産中止となってしまった。なお、基本メカニズムは110系マークIIと共通で、トップグレードは280馬力を発生する2.5リッター直列6気筒ターボエンジンを搭載、5速MTと組み合わされたこともあって、一部のドリフトファンに愛用されたことも記憶に残る。

2)トヨタ・ブレビス(2001~2007年)

 ヴェロッサとほぼ同時期に同じくトヨタから登場した、小さな高級車の新提案が「ブレビス」だ。1720mmの全幅や2.5~3.0リッターのエンジンにより3ナンバーとなっているが、全長は4.6m足らずで、扱いやすいコンパクトなボディとなっている。FRプラットフォームに直列6気筒エンジンを組み合わせるというハードウェアは、いわゆる高級車的な乗り味を生み出すもので、外連味のないスタイリングも“あがりの一台”を求めるベテランユーザー層には評価された。

 メカニズム面ではアクセル&ブレーキペダルの位置をスライドして調整する機構や、現在のADASにつながるレーダークルーズコントロールなどを備えるなど意欲的な部分もあり、けっしてオーソドックスに留まらないチャレンジングな一面もあった。しかしながら時流の変化は、ブレビスのフルモデルチェンジを許さず、これまた一代限りで終わっている。


山本晋也 SHINYA YAMAMOTO

自動車コラムニスト

愛車
スズキ・エブリイバン(DA17V・4型)/ホンダCBR1000RR-R FIREBLADE SP(SC82)
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モトブログを作ること
好きな有名人
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