「SUVはタフなガソリンでしょ」は間違い! じつはハイブリッドやEVがSUV向きなワケ (1/2ページ)

電動車はアクセルコントロールがしやすい

 日産からクロスオーバーSUVのキックスが登場した。ただし、駆動方式はFFのみ。パワーユニットも1.2リッター、82馬力、10.5kg-mエンジン+125馬力、26.5kg-mを発生するモーターのe-POWER一種類となっている。また、最低地上高は170mmだ。

 そう聞くと、キックスはクロスオーバーSUVにして、雪道や悪路の走破性能はどうなのよ……と心配してしまいそうだが、さにあらず。もちろん、エクストレイル(4WDあり。最低地上高205mm)のような本格的な走破性は望めないにしても、じつは、滑りやすい路面では、モーター駆動、たとえばノート、セレナ、そしてキックスなどに採用されているe-POWERはその持てる実力、走破力を存分に発揮してくれたりする。

 そう、雪道やちょっとした悪路では、SUV+モーター(電動車)の相性はなかなかと言っていい。理由はこうだ。滑りやすい路面では、当たり前だが、タイヤを滑らせないために、繊細なアクセルコントロールが要求される。勢い、グイッとアクセルを踏もうものなら、タイヤが空転。路面を掘ってしまったりして、ロクなことはない。あるいは、不用意に急ブレーキを踏めば、安定装置が付いていても、タイヤがいきなりグリップを失うことだってありうる。

 そもそも、人が雪道、氷上を歩くとしたら、自然と、路面の滑りやすさを確認し、探りながら、そーっと注意深く歩いているはずだ。それをクルマに当てはめると、駆動力のち密な制御があってこそ、滑りやすい路面を安定して走ることができるということになる。

 が、ガソリン車やディーゼル車の場合、アクセル操作に対する出力を一定に保つことは難しい。それがスリップの原因、悪路の走破性に影響を及ぼす可能性になりうる。

 しかし、電動車なら、アクセルをそれほどち密に踏まなくても、出力がすーっと安定しているため、アクセルコントロールしやすく、また、滑りやすい路面でもスリップしにくくなるというわけだ。


青山尚暉 AOYAMA NAOKI

2023-2024日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員

愛車
フォルクスワーゲン・ゴルフヴァリアント
趣味
スニーカー、バッグ、帽子の蒐集、車内の計測
好きな有名人
Yuming

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