買い替えするお金がない「庶民イジメ」! エコカーへの乗り替えを狙った「旧車増税」にハッキリした効果はみられず (1/2ページ)

当初10%だった登録車への重課税は現在13年超で15%に

 自動車を維持するうえで、さまざまな税負担があるわけだが、所有しているだけで毎年かかるのが自動車税・軽自動車税。その税額は基本的に排気量によって定められているが、新車から一定期間を経過すると税額が増えるという、いわゆる「旧車増税」という制度がとられている。

 そうした制度が始まったのは2001年、平成13年度税制改正において、環境負荷の小さい自動車の普及を促進するため、自動車税のグリーン化が創設され、燃費性能に優れたクルマの自動車税を減免するかわりに、環境負荷の大きな古いクルマは10%の増税になった。

 現在では、さらに旧車への風当たりは厳しくなっている。いまの「グリーン化特例(自動車税・軽自動車税)」においては、登録車ではガソリン車・LPG車は登録から13年超、ディーゼル車は11年超で、おおむね15%の重課となる。さらに軽自動車(三輪車以上)は初めてナンバーをつけてから13年を経過すると、20%の重課となるのだ。

 こうしたグリーン税制は、大義名分としては『排出ガス性能及び燃費性能に優れた自動車に対して、自動車税・軽自動車税を軽減する』ことで普及を促進。その一方で『新車新規登録等から一定年数を経過した自動車に対して自動車税・軽自動車税を重課』することで買い替えを促すというものだが、そこに日本の基幹産業である自動車産業を応援する狙いがあるのは明らかだ。つまり新車販売を増やすための政策といえる。

 では、「旧車増税」は新車販売をブーストすることができたのか。

 結論からいえば明確な効果は認められない。大きな流れとしては徐々にではあるが、新車販売は減っているからだ。まずは日本自動車工業会のデータベース(http://jamaserv.jama.or.jp/newdb/)を利用して、2000年度から2019年度までの乗用車販売台数を確認してみることにしよう。

 たしかに旧車増税をはじめた2001年度から少しずつ上がっていき、2005年度には475万台を販売するなど一定の効果はあったように見えるが、2006年から落ち込みはじめ、リーマンショックの影響もあって2008年は大きく落ち込んでいった。


山本晋也 SHINYA YAMAMOTO

自動車コラムニスト

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