90年代スポーツカーに加えて「フィガロ」も価格高騰! 海外人気の高まりで苦しむ「日本の業者」

販売現場からは「仕入れが大変」との声も

 今、海外で日本の中古車が流行している。アメリカでは中古車輸入25年しばりが続々と解除されるのに合わせて、日本車の人気が高まっている。新車当時は海外のメディアから安っぽい、おもちゃみたいと言われていたデザインも、今や「クールジャパン」なものとして好評。もちろん高性能を気軽に楽しめるのも魅力だろう。

 海外からのリポートなどでは日本車がズラリ並んでいるのを見かけるが、中古車は当然、減ることはあれど増えることはない。海外に回される分、日本市場ではタマはどうなっているのか? あまり報道もされていないため、専門店を中心に現場の声を聞いてみた。

 まず異口同音に出てくるのが「国内のタマが減って、仕入れが大変」ということ。「仕入れは不可能で、扱いを止めようかと思っている」という声すら聞こえる。もともと中古車業者の対応として、海外には出さないというところと、出すというところのふたつに分かれる。もちろん商売なのでどこに売ろうが自由だが、実際にブローカーはけっこうな金額を出してくるので、うま味は大きく売ってしまうのは当然かな、とも思う。

 海外には出さないというところからは、以前から「将来的に自分たちの首を締めることになる」という懸念の声をよく聞き、結果的にそうなってしまった例は多い。ひとつのショップが出さなくても、結局はオークションも含めて入手はできるので、ドンドンと海外に出ていくことになるが、自衛策を講じているショップは、すでに誰にでも販売することを止め、お客を選んでいるところも出てきているし、修理やレストアにシフトしているところもある。

 車種についてもメジャーなところから始まり、国内で買い漁れるタマが減ってくると、次のまだあまり手が付いていない車種に移っていく。たとえば日産GT-Rやトヨタ・スープラ、マツダRX-7のメジャーどころはまれに程度のいい個車が出てくると争奪戦で日本の業者は買えないほどの値が付いてしまう。そうなると、次のターゲットを探すわけで、エスダブと呼ばれるトヨタ2代目MR2も国内で優良なタマが枯渇してしまっているという。

 ほかでは、ホンダ初代インテグラタイプRもただ今、高騰中。新型コロナの非常事態宣言が解除されてから、オークション相場は一気に30から50万円も上がっていて、国内業者は手が出しにくい状態だ。

 また面白いところでは日産のパイクカー、フィガロ。もともと海外で人気で、イギリスでは20年前ぐらいから専門店が数軒あるほど人気で、そこに話を聞いたことがあるが、バックオーダーを1000件抱えているとのこと。そもそもそんなにクルマがないだろうと、驚いた覚えがある。最近ではアメリカでも専門店ができていて、日本で手放す人が出るのを世界が虎視眈々と狙っている。日本での人気も高いため、程度に問題がなければ新車と同じ価格、もしくはそれ以上で売れるから異常と言えば異常だ。

 ちなみに、新型コロナ禍で海外からの渡航は制限されているのに、どうやって買い付けに来るのか不思議に思うかもしれないが、国内のブローカーが代行してくれるため問題なし。国内の陸送と船便が動いていれば取引自体は可能だ。


近藤暁史 KONDO AKIHUMI

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