人気ミニバン「日産セレナ」の魅力とは? (1/2ページ)

子どもを持つファミリーから圧倒的な人気を誇る

 利便性やユーティリティなどの面でファミリーカーの主役となったミニバン。とくに子どもを持つ家庭にとって、いまや「一択」ともいえるほどだ。近年、高いユーティリティを誇るSUVの勢いにおされつつあるものの高い人気を保っている。

 そんなミニバンセグメントにおいて5ナンバーワンボックスはボリュームゾーン。そのなかで販売ナンバー1の座を維持しているのがセレナだ。その人気はどこからくるのかを探っていこう。

e-POWERに注目! 日産セレナとは

 現行セレナは2016年に登場した5代目。自動運転技術プロパイロットを初採用したことで大きな話題となった。ただし、プラットフォームは先代モデルからのキャリーオーバーだ。

 ボディタイプは5ナンバーサイズに収まる標準ボディ、さらに専用エアロパーツを装着しスポーティーに仕立てたハイウェイスターを用意。ハイウェイスターは3ナンバーサイズとなる。

 標準ボディは全長4690mm×全高1865〜1875mm×全幅1695mm。ハイウェイスターは全幅が1740mm。ホイールベースは2860mm。

 セレナが人気を集めるポイントのひとつがパワーユニット。ハイブリッドを2種類が用意されている。2リッター直4MRDD型ガソリンエンジンをベースにジェネレーターをアシストモーターとして使用するSハイブリッド、さらに2018年に追加されたシリーズハイブリッドのe-POWERだ。

 Sハイブリッド、e-POWERと2種類のハイブリッドは、システムは大きく異なる。

 アシストモーター専用のバッテリーを装備せず、従来のバッテリーを大型化。最大トルク48Nmを発揮するモーターでアシストするのがSハイブリッド。機械類をガソリンエンジンと同等なスペースに収めることができ、リーズナブルにハイブリッド化できるメリットを持つ。ミニバンにとって居住性に影響を与えずシステムを搭載できることは大きな利点となることは言うまでもないだろう。

 一方、e-POWERは先にノートへ搭載され話題となった日産自慢のシステムだ。発電用となる1.2リッターエンジンを搭載し、発生させた電気を動力用バッテリーに蓄電。そこから電力をモーターに送りタイヤを駆動する。発電用のエンジンを最高効率で使用できることで走行効率を高めるメリットを有する。モーターの最高出力は136ps。ノートe-POWERより増強されているのが特徴だがSハイブリッドの出力より劣っている。

 モーターの瞬発力を重視するならe-POWER、ゆとりある走行性能を求めるならSハイブリッドを選びたい。

 気になる両タイプの燃費性能をどうなのだろうか。

 SハイブリッドはWLTCモードが13.2km/L、JC08モードが15.4km/L。e-POWERが、WLTCモードが18.0km/L。JC08モードが26.0km/L。燃費性能はe-POWERが勝るが、ライバルとなるステップワゴンのハイブリッド(e:HEV)はWLTCモードが20.0km/L、JC08モードが25.0km/L。e-POWERが特段、燃費に優れているわけではない。

 また、e-POWERで忘れてはならないのがアクセルペダルだけで加減速できるワンペダル。最初は慣れが必要だが、アクセルを戻すだけで停止まで持ち込めるこのペダルは、モーターの加速やスムーズさとともにe-POWERの魅力を引き立てている。

セレナが人気の理由

人気の理由その①「広大な室内スペース」

 クラストップの人気を誇るセレナ。その大きな理由は広大な室内スペースにある。室内長は先代比110mm拡大した3170mm、3列目シートのスライド機構を利用して最後端まで移動させると3240mmにもなる。

 ライバルステップワゴンの室内長は3220mm、ノア/ヴォクシーは2930mm。室内幅もセレナが1545mm、ステップワゴンが1500mm、ノア/ヴォクシーが1540mmとライバルより広い。

 運転席の着座位置は高めだ。アイポイント地上高は1410mmでステップワゴンやノアなどライバル車より高い。これにより視界は良好だ。また、視界の良さは細くしたAピラーや三角窓の可視面積を拡大したことも貢献している。

 ただ、一列目シートの着座位置は高いとはいえ頭上空間は広大。標準装備されているハイトアジャスターで様々な体型のドライバーが理想の運転姿勢をとることができる。

 広大な室内長の恩恵を受けた2列目シートの足元には大きな余裕がある。スライド量は570mm、超ロングスライドを使用することで690mmを可能とした。

 2列目シートのトピックスは標準装備のスマートマルチセンターシート。

 マルチセンターシートとは2列目中央部のシートで、1列目シート横までスライド可能。前席のフロアコンソールとして、また前席&2列目のアームレストとして、さらに3名掛けのベンチシートとして使用できる。

 また2列目シートは横スライドできることで、乗降性を容易にしている。

 ただしe-POWERの2列目はスマートマルチセンターシートを廃止したキャプテンシートを採用。ガソリン車と違い1〜3列目までのウォークスルー移動を可能にした。

 120mmの前後スライドを可能にしている3列目シートはライバル車よりゆとりがあるため、大人2人のロングドライブも快適。5対5分割で左右跳ね上げ式の格納機構を採用し、3列目の格納時は奥行き1080mm+高さ1220mmのラゲッジスペースとなる。

人気の理由その②「快適装備が充実」

 もちろん、室内の広さだけがセレナの売りではない。快適な装備が充実していることにも注目だ。

 ナビは9インチワイド画面を用意(7インチもラインアップ)。9インチを選ぶと見た目の良さが引き立つ専用パネルが装着される。またBlu-rayディスクに対応し、後席モニター(オプション)にも映像を流すことも可能だ。

 また特質すべきは3列それぞれに用意されるUSB電源ソケット。最大6箇所装備できるのは、とくにファミリーユーザーはありがたさを感じるはずだ。そんなファミリーユーザーに対して、室内収納も数多く用意されている。

 また便利機能でいうと、スライドドアの下に足元を入れ、さっと引くと自動でドアが開くハンズフリーオートスライドドア、キャップレス給油口、バックドアの上部半分のみを開閉できるデュアルバックドアを装備していることにも注目だ。

人気の理由その③「プロパイロット」

 デビュー時に「自動運転」とのワードを押し出し大きな話題を集めたプロパイロットはe-POWER、SハイブリッドともにハイウェイスターVとGに標準装備。

 高速道路をはじめとする自動車専用道路での高速(最高時速100kmまで)・巡航走行、また渋滞時(時速30kmまで)のアクセルやブレーキ、さらにステアリングの操作を自動制御やアシストする機能。ステアリング右側にあるプロパイロットのスイッチをオンにして、速度をセットスイッチで調整すれば機能が作動する。

 正直、セレナがデビューした当時のプロパイロットはとくに渋滞走行時の減速でスムーズさがかけていたよう感じたが、機能自体が進化した現在は渋滞時での走行にも不安を感じなくなった。前車の減速にあわせ、速度を落とし車間維持してくれる。ただし、スカイラインに搭載されるプロパイロット2.0とは違い、ハンズオフ(手放し運転)はできない。

 プロパイロットに加え、単眼カメラやミリ波レーダを追加したインテリジェント・エマージェンシーブレーキ、対向車がいてもハイビームのまま走行できるアダプティブLEDヘッドライトシステム、インテリジェントBSI(後側方衝突防止支援システム)、BSW(後側方車両検知警報)などの先進安全装備を備えたことで360°の安全性能を備えている。


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