国産車の多くが採用する「180km/hリミッター」の根拠とは?

高速道路の勾配を100km/hで走れる性能の確保というのが定説

 国産車には基本的にスピードリミッターが付いているのはご存じだろう。普通車で180km/h、軽自動車では140km/hになっている。軽自動車では高速道路での制限速度が普通車と同じに引き上げられため、リミッター速度も上げられてはいるが、280馬力規制のように撤廃されず、今でも存続している。ちなみにスピードリミッターも280馬力規制ともども、形としては個々のメーカーによるあくまでも自主規制ではある。

 ただ最近では、トヨタのスープラはBMWのEU基準で260km/hがリミットだし、スバルのWRX系の特別仕様車は220km/hだったりすることも多い。またR35GT-RやレクサスのLCはナビと連動して、サーキットに行くと解除されるのが話題になったし、NSXは任意で解除する機能も付いている。

 徐々に緩和の兆しがあるように思えるが、そもそも180km/hになった経緯はなんなのだろうか? まず導入されたのは1975年とされ、それまではカタログを見ると、最高速度が明記されているクルマも多く、1970年頃のオイルショック前夜ともなると、200km/hオーバーを堂々と謳うクルマもあったほどだ。

 1970年代は、交通事故の多発や排気ガス汚染など、クルマを取り巻く環境は非常に厳しくて深刻化した時代だけに、制限を設けようという流れになっても仕方がなかったのかもしれない。もちろん、自主規制とは表向きで、当時の運輸省の指示よるものだが、詳しい経緯は不明だ。

 肝心の180km/hの根拠はというと、勾配6パーセントの坂道を高速道路の最高速度だった100km/hを維持して走るには、180km/hを出せる性能が必要というのが定説だ。こちらも正しい根拠は不明だし、当時と現在では性能や技術もまったく違うので、今や根拠としては通用しないだろう。簡単に言ってしまえば、なんとなくそのまま適応しているともいえ、高速道路の120km/hに合わせて見直しが進む可能性もある。また、自動運転時代が到来すれば、技術的にさらになる高速域で安全に走ることも可能になるかもしれず、今後の動きに注目したい。


近藤暁史 KONDO AKIHUMI

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