マニアでも知らないモデル? 「自動車保険」のCMに出てくる謎のクルマの正体とは

「クルマが事故に遭う」マイナスイメージを持たれてしまう

 CMにクルマが出てくることはよくあるが、自動車メーカーのものは別として、そのほかの業者の場合、エンブレムを隠したり、架空のものになっていることはよくあるし、映像や実際にクルマそのものを加工して架空のクルマになっていたりする。なかでも気になるのが損害保険会社、つまり自動車保険のCMに出てくるクルマの非現実感はかなりものだ。その理由を考えてみよう。

 ドラマなどの場合は、スポンサーに自動車メーカーが入ることがありうるので、ライバルメーカーのエンブレムやクルマが写ってしまうのはまずいのはわかる。それと同じように、複数提供の番組の場合、横並びで自動車メーカーがスポンサーで入った場合、一方では宣伝しつつ、もう一方のCMでは事故で破損ということになりかねない。それを避けるために、架空化してしまうというのはあって、広告代理店がCM製作時に配慮するというのが一般的だ。

 さらに損害保険会社にも系列というものがあって、自動車メーカーと関係が深い場合がある。たとえば損保ジャパンには以前あった日産火災も関わっているし、あいおいニッセイ同和損保はトヨタ系だ。そうなると、日産車やトヨタ車が事故に遭っているのは非常に避けたいし、ライバル社のクルマならいいかというと、けんかを売っているようにも見えて避けたいというのが正直なところ。

 当然、自動車メーカーによっては系列に保険会社がないところがあり、そうなるとディーラーで扱ってもらうために、さまざまな損害保険会社が営業をかけることになるだけに、この点でも具体的なクルマが事故に遭っているのはイメージとしてよろしくない。

 いろいろな事情があって、それぞれに配慮していくと、結果として架空のクルマを出したほうが丸く収まるというわけだ。


近藤暁史 KONDO AKIHUMI

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