自動運転化の加速で「自動車保険」も変革の時! 責任の所在が曖昧な事故への対応とは?

自動運転中の事故を想定した保険も登場してきている

 自動運転での課題というのは、車両性能だけでなく、インフラなど多岐にわたる。そのなかで、とくに問題なのが、事故を起こした場合の責任問題だ。レベル3以上になればドライバーは運転操作には直接関与しないし、メーカーによる技術的な欠損や過失を証明するのは非常に困難になる。とはいえ、相手方もいるわけで、放置するわけにもいかない。

 責任の所在が曖昧になるという点は、自動運転がらみの紹介記事でもよく出てくることで、保険も含めて、整備が必要だ、的な締めくくりも多い。クルマが勝手に事故をしたからといって、損害保険会社もそうそう気軽に支払いはしないだろうというイメージに基づくのだが、じつはいろいろと動きがあるのだ。

 まず基本的な対応から見ていくと、事故を起こした場合、状況によってはドライバーに賠償責任が発生する。そこで自動車保険を使うというのは、従来と変わりはない。保険がかかったクルマに、なにも運転操作をせず、スマホをいじっていても、運転席に座っていたというのはその車両の責任者であり、賠償をする義務が発生するということだ。

 この点は釈然としないこともあるだろうが、たとえば東京海上日動火災保険では他社に先駆けて、レベル3以上の自動運転中の事故であれば、保険を使用しても等級に影響はないとの発表がされている。2021年4月以降に適応されるもので、つまり使っても、使わなかった場合と変わらないということ。

 もともと、東京海上日動火災保険は、自動運転時代を見据えた「被害者救済費用等補償特約」を2016年に導入済みで、これは被保険者に責任がなくても、補償を行なうというもの。複雑化する自動運転時代の責任は別にして、被害者救済を優先した試みとして注目だ。

 この流れが進むと、被害者の保護はもちろん、加害者の負担軽減も両立。そもそも加害責任はどこにあるのか曖昧になりがちな、自動運転についての補償が明確化されていくことも期待される。自動車保険も自動運転でのインフラだけに、今後の動きにも注目だ。


近藤暁史 KONDO AKIHUMI

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