警察の白黒パトカーが「高級車」トヨタ・クラウンである必要はあるのか? (1/2ページ)

要件に適合させるためにはクラウン以外の選択肢はない

 街なかで見かける白黒カラーの警察パトロールカー。正式には「無線警ら車」と呼ぶが、そのほとんどはトヨタ・クラウンとなっている。過去にはスバル・レガシィのパトロールカーも存在していたが、だいたい6年を目途に更新されているので、その姿を見かけることも少なくなり、ますますクラウン一択といった雰囲気になっている。なぜ、パトカーはクラウンでなければいけないのだろうか。

 まず、いわゆるパトロールに使われている無線警ら車については警察庁が入札によって一括購入している。そのため警察庁の定めた仕様を満たしていなければならないのだが、そこには室内の広さや耐久性なども含めて、いくつもの条件がある。車種選定でわかりやすい条件としては「4ドアセダンであること」、「2500cc級であること」のふたつがあげられる。細かいことをいえば、5名乗車であることや排ガスレベルについても規定がある。

 そして、いまやセダン型ボディが絶滅傾向にある国産車において、この条件を満たすモデルはほとんど存在しない。「2.5L級4ドアセダン」という条件だけで絞ったとしてトヨタ・クラウンのほかに、日産フーガとマツダMAZDA6くらいしか選択肢が思い浮かばない。さらに警察庁が入札制度をとっている限り、そこに参加するメーカーからしか選ぶことができない。そして、結果的にトヨタ一社が応札するという状態になっている。

 なぜなら、単純に2.5L級セダンであればいいというわけではなく、まとまった台数を架装して納入することができて初めて入札に参加(応札)することができるからだ。トヨタ以外のメーカーが応札しないのは、パトロールカーがけっしておいしいビジネスではなく、耐久要件などを満たすための試験を行うことにコストをかけるだけのメリットがないと考えているからだろう。


山本晋也 SHINYA YAMAMOTO

自動車コラムニスト

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