大混戦のコンパクトクロスオーバーからトヨタ・ライズを調査! トヨタの小型SUVでおすすめは?

コンパクトクロスオーバーはし烈な人気争いが続いている

 トヨタ・ライズはトヨタ車でありながらダイハツが企画、開発、製造している5ナンバーサイズの小型クロスオーバーSUVだ。日本自動車販売協会連合会(自販連)が発表した2020年11月の単月登録車通称名(車名)別販売ランキングでもトヨタ・ヤリスに次いで2位を維持し、堅調に販売台数を伸ばしている。

トヨタのコンパクトクロスオーバーモデル

 トヨタ車だけでみてもコンパクトクロスオーバーモデルはライズ、ヤリスクロス、アクアクロスオーバーの3車種が用意される。各モデルの基本スペックをみていこう。

ライズ

 ライズは「アクティブ・ユースフル・コンパクト」をコンセプトに、週末のレジャーや普段使いでも扱いやすいサイズにこだわった。ボディサイズは全長3995×全幅1695×全高1620mmと、5ナンバーサイズに収まるのがヤリスクロスやアクアクロスオーバーとの大きな違いになる。最小回転半径が4.9m(Zグレードを除く)と小回り性、駐車性、幅寄せ性も抜群。

 パワーユニットは3気筒のガソリンターボ(98馬力、14.3kg-m)が設定される。WLTCモードの燃費は2WDで18.6km/L(G/Xグレード)。クロスオーバーモデルとして気になる最低地上高は185mmと余裕があり、4WDはダイナミックトルクコントロール4WDが用意されている。新開発の軽量高剛性ボディやサスペンションによって優れた操縦安定性と快適な乗り心地を実現する。

ヤリスクロス

 主力コンパクトカーのヤリスをベースにクロスオーバーとしたヤリスクロス。ヤリスブランドで築いてきた「走る楽しさへのこだわり」「クラスを超えた質感」を受け継ぎつつ、都市型コンパクトSUVを再定義することを目指して開発された。全長4180×全幅1765×全高1590mm。3ナンバーサイズとなるが、車幅はそこまで気にならず、日本の路上でも扱いやすい。

 パワーユニットはすべて3気筒で、1.5リッターガソリン、120馬力、14.8kg-mというスペックで、JC08モードより実燃費に近いWLTCモードでの燃費は2WDで19.8km/L(Gグレード)。クロスオーバーモデルとして気になる最低地上高は170mmだ。ガソリン車の4WDにはスノーモードに加え、ダイナミックトルクコントロール4WD、マルチテレインセレクトが加わり、走破性能としてはコンパクトクロスオーバーモデルでトップレベルの性能を誇る。 一方、HVモデルは1.5リッターエンジン+2モーター、91馬力、12.2kg-m、フロントモーター80馬力、14.4kg-m、リヤモーター5.3馬力、5.3kg-mのゆとりをみせる。2WD、4WDが用意され、4WDはトヨタ自慢の電気式4WD=E-Fourである。

アクアクロスオーバー

 世界最高燃費を誇ったアクアのクロスオーバーモデルとして特別仕様車扱いのアクアクロスオーバーグラム。ボディサイズは全長4060×全幅1715×全高1500mmと、3台のなかで唯一、立体駐車場の入庫が可能だ。3ナンバーサイズとはなるものの、1715mmの車幅はフェンダーアーチモールの出っ張り部分のため、実質、5ナンバーのアクアと変わらないボディサイズだと思っていい。最小回転半径が5.4mと大回りなのは、アクアの開発時点ではなかった185/60R16という大径タイヤを履かせているため。

 パワーユニットはHV専用車のアクアゆえ、プリウス譲りの1.5リッターエンジン+2モーター、エンジン74馬力、11.3kg-m+モーター61馬力、17.2kg-mのストロングHVのみの設定。WLTCモード総合燃費はクロスオーバーモデルにして27.2km/Lと、ヤリスクロスオーバー、ライズを圧倒する。本格的な悪路に向くクルマではないものの、最低地上高は170mmを確保。SUVらしいしっかりとした操舵感を追求しながら乗り心地も高めている。

用途別のおすすめモデル

ライズ

 コンパクトなボディのなかに荷室幅1000mm、荷室高865mm、荷室長755mmと十分なゆとりを確保。可動式デッキボードによって利便性を高めたほか、デッキボード下段時にはコンパクトSUVトップレベルの荷室容量369Lを実現した。デッキボード上段時には後席シートを前倒しすることでフラットかつ奥行きのある空間となり、長尺物の収納にも対応する。

 デッキボードを外せば観葉植物など背丈のある荷物も収納できるなど、さまざまなニーズに対応できるのが他のモデルと比較しても使いやすく、荷物を多く載せて出かけたいアウトドア派におすすめの一台だ。車両本体価格(税込み)も167万9000円〜228万2200円とヤリスクロスやアクアクロスオーバーに比べても安価なことがポイントとして挙げられる。

ヤリスクロス

 ヤリスクロスはHVの2WD(G、Zグレード)は、出足のEV走行によるスムースさ、モーターアシストによるトルキーな動力性能の余裕、そして大径18インチタイヤを履きながら、重量増がもたらすガソリン車とは別格の角が丸められた乗り心地の良さ……は、HV 4WDと同質ながら、より静かでHV感が強く、エンジンを高回転まで回しても、ガソリン車、HV 4WDほどのうるささを感じずに済むから終始、静かで快適だ。約120km/hまで可能だというEV走行にしても、首都高速での80km/h巡航でさえねばり強いEV=モーター走行を確認。市街地ではさらにEV走行の機会が増える。

 ヤリスとパワーユニットやCVT、ホイールベースなどは共用するが、リヤオーバーハングを延長してアウトドアシーンで欠かせない大きな荷物や長尺物を室内側に積み込むことができる。後席を倒すことなく、110Lの大型トランク2個を収納できる。また、6:4分割アジャスタブルデッキボードや4:2:4分割可倒式リヤシートの設定で多彩なデッキアレンジもでき、使い勝手に優れている。

アクアクロスオーバー

 クロスオーバーモデルに憧れはあるものの、実際に走行するのは都市部がほとんどでアウトドアや悪路走行などには使用しないという人にオススメなのがアクアクロスオーバー。立体駐車場への入庫が容易であるほか、WLTCモードで27.2km/Lと他モデルを圧倒する。基本設計は決して新しくはなく、また先進運転支援機能=トヨタセーフティセンスもトヨタ最新、機能満載とは言えないものの、たとえばACC(アダプティブクルーズコントロール)が用意されていない点など、高速道路を利用する機会が少なければ、問題ないと思える。

 後席がもっとも広いのもアクアだが、基本設計が新しいライズやヤリスクロスに比べると乗り心地にも少し古さを感じてしまうかもしれない。

ライズのインテリアと外観

 エクステリアはSUVの力強さを押し出したデザインで、その見た目はトヨタの人気車種RAV4の弟分とも評される。ボディ四隅にはエッヂを効かせ存在感を魅せるデザインを採用。また視認性を保つサイズのサイドウインドウを採用しながら、ボディの厚みを強調しSUVの力強さが伝わる面構成もシンプルだ。ドッシリとした安定感は陰影を強めたフェンダーとともに演出している。

 インテリアはデザイン性の高い大ぶりなフロントシートと、シンプルな操作が期待できる運転席まわりのデザインが特徴。メーターはLEDデジタルメーターと液晶ディスプレイを併用したマルチインフォメーションディスプレイを採用する。「運転する楽しさを演出するコックピット」(開発者)だが、とくにメーターのデザインは4パターンから選べ、異なる雰囲気を大人も納得の質感で楽しみながら情報が得られる。またこれらを切り替えるスイッチや先進運転支援技術のスイッチ、オーディオなどの操作系スイッチはステアリング上に配置され、手を離さずにさまざまな操作ができる。

 収納系も随所に用意されているが、フロントシートのドアポケットの大きさ、センタートレイの装備そのものも使いやすい印象だ。グレードによっては助手席の下にアンダートレイも装備され、シューズの収納にも役立つ。コンパクトカーの楽しみ方を知っているからこそのクルマづくりが感じられる。

 アレンジ性に優れる分、リヤシートの快適性は若干犠牲になっている。座面は高めに配置され前方の視界は保たれるが、座面長は短めでなおかつフラット。そのためホールド性に欠ける点は否めない。コンパクトなサイズ感でありながら十分広い空間を実現しているが、このサイズゆえに広さと実用の両立は完璧とはいかない。

ライズのメリットとデメリット

 970kgと物理的にそもそも軽量な高剛性ボディを採用していることもあるが、1リッターターボエンジンはわずかな振動を伴うものの、トルクも速さも申し分なく、さらにターボの過給ショック(段付き感)も気にならず、低速から加速していく過程のマナーの良い伸びには安心感がある。じつはそんなエンジン性能を引き出すDNGAになって新開発されたCVTとのコンビネーションが絶妙だ。

 ステアリングフィールは少し重め。これによりドライバーの操舵に対し、しっかりとした手応えが得られる。ライズの場合、これが重いフィールでも軽くてもこの軽快な身のこなしとは釣り合わない。ドライブフィールのつくり込みも完成度は高い。

 これはライズがダイハツのDNGAプラットフォームを新採用するにあたり、サスペンションの取り付け位置を先に決めてから車体骨格を作るという、ゼロからの開発を行えたという成果だろう。DNGAの採用によるメリットはハンドリングと快適性、そして安全性にも寄与する安定性を理想の取り付け位置で実現できることだ。

ライズのグレードの種類と価格の違い

 ライズのグレードは4種類あり、それぞれ2WDと4WDが用意される。それぞれのグレードについて紹介しよう。

ライズZ

 Zグレードには195/60R17のタイヤと17×6Jの切削光輝+ブラック塗装アルミホイール、LEDヘッドライト(オートレベリング機能付き)+LEDクリアランスランプ+LEDフロントシーケンシャルターンランプとLEDデジタルスピードメーター+7インチTFTカラー液晶ディスプレイ(マルチインフォメーションディスプレイ付き)、本革巻き3本スポークステアリングホイール、本革巻きシフトノブ(オーナメント付き)/シフトレバーブーツ(ダブルステッチ)/テクスチャー加工シフトベゼル(メッキオーナメント付き)、スマートアシストを装備する。

 (2WD)

 燃費:JC08モード22.8km/L

 WLTCモード18.6km/L

 価格:206万円

 (4WD)

 燃費:JC08モード21.2km/L

 WLTCモード17.4km/L

 価格:228万2200円

ライズG

 Gグレードには195/65R16のタイヤと16×6Jのシルバー塗装アルミホイール、LEDヘッドライト(マニュアルレベリング機能付き)+LEDクリアランスランプ、LEDデジタルスピードメーター+7インチTFTカラー液晶ディスプレイ(マルチインフォメーションディスプレイ付き)、シルバー塗装付きのウレタン3本スポークステアリングホイール、シフトノブ/シフトレバーブーツ(ダブルステッチ)/テクスチャー加工シフトベゼル、スマートアシストを備える。

 (2WD)

 燃費:JC08モード23.4km/L

 WLTCモード18.6km/L

 価格:189万5000円

 (4WD)

 燃費:JC08モード21.2km/L

 WLTCモード17.4km/L

 価格:213万3700円

ライズX“S”

 X“S”グレードには195/65R16のタイヤと16×6J樹脂フルキャップのスチールホイール、LEDヘッドライト(マニュアルレベリング機能付き)+LEDクリアランスランプ、オプティロンメーター(2眼/LCDマルチインフォメーションディスプレイ付き)、ウレタン3本スポークステアリングホイール、シフトノブ/シフトレバーブーツ(シングルステッチ)/テクスチャー加工シフトベゼル、スマートアシストが装備される。

 (2WD)

 燃費:JC08モード23.4km/L

 WLTCモード18.6km/L

 価格:174万5000円

 (4WD)

 燃費:JC08モード21.2km/L

 WLTCモード17.4km/L

 価格:198万4800円

ライズX

 X グレードには195/65R16のタイヤと16×6Jスチールホイール、LEDヘッドライト(マニュアルレベリング機能付き)+LEDクリアランスランプ、オプティロンメーター(2眼/LCD マルチインフォメーションディスプレイ付き)、ウレタン3本スポークステアリングホイール、シフトノブ/シフトレバーブーツ(シングルステッチ)/テクスチャー加工シフトベゼルが備えられている。

 (2WD)

 燃費:JC08モード23.4km/L

 WLTCモード18.6km/L

 価格:167万9000円

 (4WD)

 燃費:JC08モード21.2km/L

 WLTCモード17.4km/L

 価格:191万8800円

 ライズは2トーンや新色などを含めて11色もの多彩なボディカラーを用意しており、色で個性が出しやすいモデルだ。そのため老若男女問わず、レジャーや日常まであらゆる場面で「頼れる相棒」になってくれるだろう。


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