製造時も含めればEVやPHEVはCO2排出量が多い! それでもクルマの「電動化」を促進すべき理由 (1/2ページ)

リチウムイオンバッテリーは製造時のCO2排出量が多い

 電気自動車(EV)や、プラグインハイブリッド車(PHEV)などに搭載されるリチウムイオンバッテリーは、その製造段階で二酸化炭素(CO2)の排出量が多いことが問題視される。したがって、たとえばマツダは、熱効率を高めたエンジン車であれば、ウェル・トゥ・ホイールのCO2排出量で、EVと同等を目指すことができるとしている。

 リチウムイオンバッテリーの製造段階でのエネルギー消費が多いのは事実であり、いかにしてより省エネルギーでの製造ができるようになるかという挑戦は続ける必要がある。

 一方で、世界的な脱炭素の動きは、クルマだけで達成できるわけではなく、暮らしに関わるあらゆる商品の製造を脱炭素へ向かわせていかなければ実現できない。そのためにとるべき対策とは、そもそもの発電を脱炭素化することだ。世界でまだ大半が依存している火力発電から、再生可能エネルギーや原子力発電などへ転換しなければならない。実際、日本とドイツ以外の国では、次世代原子力発電の研究開発はもとより、その実用化へ向けた動きがある。

 発電所での脱炭素が進めば、もともと排出ガスゼロのEVは、本当の意味でゼロエミッション車(ZEV)になる。一方、排出ガスを出し続けるエンジン車は、発電所が脱炭素化してもなおCO2を出し続けることになるのだから、到底EVに追いつくことはできない。

 鶏が先か、卵が先か…の話であり、現在のEV化は、まずクルマの走行について脱炭素を進め、製造段階でのCO2排出量については、近々動き出すであろう発電所の脱炭素化を今や遅しと待つというのが戦略だ。


御堀直嗣 MIHORI NAOTSUGU

フリーランスライター/2023-2024日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員

愛車
日産サクラ
趣味
乗馬、読書
好きな有名人
池波正太郎、山本周五郎、柳家小三治

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