兄弟・親戚多すぎ! クルマ好きでも全部思い出せない華麗なる「カローラ一族」の派生車たち

市場の要望に細かく合わせていた

 車名別では世界一の販売台数を誇るのが、トヨタのカローラだ。最近は少々元気がないが、以前であればファミリーカーといえばカローラだったし、派生車種がドンドンと登場して、走り好きの心もがっちり掴んだりしていた。今回は、とにかく多すぎ、カローラファミリーを紹介しよう。

 1966年に登場した初代カローラの時点で、セダン以外に2ドアセダン、2ドアクーペ、バン&ワゴン(バンの乗用登録)が存在。さらに広い意味ではこちらも派生モデルとなる、販売店違いのカローラスプリンター(のちにスプリンターのみに)も登場している。ちなみに当初、スプリンターはただの兄弟車ではなく、カローラにはない2ドアハードトップをラインアップするなど、スポーティなイメージとして差別化を図っていた。

 そして2代目になるとお馴染みというか、伝説のカローラレビンが登場する。いわゆるハチロクもこの系譜だ。またバンとワゴンでは、5ドアも追加され、3ドアのリフトバックも登場している。すでにこの段階で大家族なのだが、その背景にあるのはトヨタ流のマーケティングによって市場の要望に細かく合わせたのと、初代から海外に積極的に展開していたことからさまざまな仕様を作っていて、それを国内でも販売したというのもあるだろう。

 1983年に登場した5代目では、史上唯一の5ドアリフトバックが登場したものの、以降は4ドアセダンとバンとワゴン程度のラインアップになっていく。代わりに増えたのが、レビンのようなカローラをベースにした別モデルで、1992年登場のカローラセレスはバブルのころに流行った4ドアクーペスタイルのセダンを踏襲していて、あくまでもスタイル優先で、車内はかなり狭かった。

 そして、現在のカローラスポーツのルーツとなるカローラFX(1984年)や同じハッチバックのカローラII(1982年)は、当時すでに保守化していたイメージを覆すべく、若者をターゲットに登場した。カローラFXについては、その後を受け継いでカローラランクが登場したものの、こちらはオーリスに切り変わったことで、1代限りで消滅している。

 カローラIIは小沢健二の『カローラIIにのって』がヒットして、イメージの若返りには成功したのは有名だが、カローラと名乗りつつも、車格は下で、なんとカローラベースでないのにカローラという珍しいモデルではある。

 そのほか、1997年に登場したミニミニバンのカローラスパシオや、bBの兄貴分的なユニークにスタイルのカローラルミオン(2007年/海外仕様カローラベース)もあった。

 カローラがいかに大家族かがわかってもらえたと思うが、本家のセダン、そして初代から続いているワゴンも、名称が変わっていて、セダンは現在、カローラアクシスになっているし、ワゴンはツーリングやフィールダーへと変わっていて、とにかく数が多い。海外仕様ではアルティス、EXなどさらに増えていく。日産もサニーベースで多くのモデルを作ったが、サニーの名が付くのはあまりなく、トヨタがいちいちカローラを頭に付けたのとは対照的だ。いずれにしてもすべてをスラスラ言うのは至難の業なのではないだろうか。


近藤暁史 KONDO AKIHUMI

-

愛車
フィアット500(ヌウォーバ)/フィアット・プント/その他、バイク6台
趣味
レストア、鉄道模型(9mmナロー)、パンクロック観賞
好きな有名人
遠藤ミチロウ、岡江久美子

新着情報