ポルシェファンの聖地ヴァイザッハ! 若き日の中谷明彦が体験した「日本の常識」が通じない世界とは (1/2ページ)

市販車からレーシングカーまで開発する研究施設

 ヴァイザッハはドイツ・バーデンヴュルテンベルク州にある小さな村。そこにはポルシェの研究開発センターがあり、ポルシェ・フリークならその名を知らない人はいないのではないだろうか。ポルシェ本社のあるシュツットガルトから北西に約30km。ドイツを観光で訪れ、ポルシェ本社近くにある「ポルシェ・ミュージアム」を見学しヴァイザッハにまで観光の足を伸ばす人も多いだろう。だが、近年はヴァイザッハの役割がより高度で重要になり、一般人の見学は許されなくなっているという。

 僕がヴァイザッハを訪れたのは2001年のことだった。例のポルシェ911によるワンメイクレース「ポルシェ911スーパーカップ」のモナコGPラウンドへの出走が霧消と化し、その代替としてオファーを受けた同シリーズの「スパ・フランコルシャンGPラウンド」への参化条件として、ヴァイサッハを事前に訪問しテストを受けることとなったのだ。

 フランクフルト空港で三菱自動車の現地オフィスからギャランVR4をお借りし、ヴァイザッハが指定したホテルに向かった。ギャランVR4は当時唯一カーナビを備えたモデルがラインアップされていたが、空港で購入するのが当たり前となっていた「ドイツ国内ルートマップ」も手に入れて向かったのだ。

 フランクフルト空港からハイデルベルグ、カールスルーエをアウトバーン5号線で南下し、約3時間のドライブでヴァイザッハ村に到着した。すでに夕刻となっており食事をしたかったが、レストランらしき店が皆無。仕方なくスーパーを見つけ「ピザパン」とコーラを買ってホテルに向かった。村で唯一のスーパー内には「ポルシェ」のエンブレムの入ったウェアを着たヴァイサッハの職員と思われる客が多勢いて、いかにも「ポルシェの街」といった雰囲気だったが、街なかはあまりにも殺風景で寂れており、そこに住むのは気が引けた。

 ホテルは村はずれの細い田舎道沿いにある、材木工場に隣接して立てられた「ビジホ」だが、すでにフロントはクローズドしていて無人状態。花壇の下に隠されたキーを自分で探し出して勝手にチェックインするというのが利用方法だった。


中谷明彦 NAKAYA AKIHIKO

レーシングドライバー/2023-2024日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員

中谷明彦
愛車
マツダCX-5 AWD
趣味
海外巡り
好きな有名人
クリント・イーストウッド、ニキ・ラウダ

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