どんな役割? そもそもクルマにはなぜ「マフラー」が必要なのか (1/2ページ)

エンジン性能の裏付けとしてクルマ好きに支持されてきた

 自動車のマフラーは、どんな働きをするものだろうか? すごく基本的な事柄だが、1度でも考えてみたことがあるだろうか? ある意味、性能を象徴するパーツとして印象付けられてきたマフラーについて、いま一度見直してみることにとよう。

 自動車にとってのマフラーは、正確にいえば排気系は、まず、エンジンを作動させる上で必要不可欠なシステムということが挙げられる。

 また、排気効率という言葉に代表されるように、抵抗が小さく効率に優れた排気系は、その排気音も含め、エンジン性能の裏付けとしてクルマ好きから歴史的に支持されてきた経緯がある。実際、現代の車両でも、高性能を自負する(売り物とする)モデルは、それを象徴するかたちで、排気系を強調するデザイン(大径マフラー、2本出し/4本出しなど)の車両も多い。

 本来的にマフラーの働きは、燃焼ガスのエネルギーを吸収し、弱まった熱エネルギーを音として大気中に放散する働きを持つもので、日本語訳では消音器とも表記されるが、響きの良い排気音はエンジン性能を象徴する効果があり、歴史的に見ても、車両のカスタマイズで多くのユーザーが手を加えてきた箇所である。実際、エンジン性能だけから見れば、マフラー(消音器)はないほうが有利だが、高温の排気ガスをそのまま大気中に放出するとその膨張音が大きくなりすぎ、騒音の発生源となってしまう。

 余談だが、現在のレーシングカーはサーキットの騒音規定に合わせ、マフラーを装着しなければ車検を通らないが、1980年代中盤ごろまでは、消音器のないストレートマフラー(消音器のない状態をストレートマフラーと言うのも変な表現だが)の状態でレースを行っていた。消音器のない大排気量エンジン(6リッターとか7リッター)がエンジンを始動させる際の排気音は、聞いたことのある人ならお分かりかと思うが、目の前で落雷にあったかのような轟音である。レーシングカーに消音器が必要なことを肌身をもって体験することができるだろう。


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