パンクしても走れる「神タイヤ」じゃない? 「ランフラット」の仕組みと普及しないワケ (1/2ページ)

この記事をまとめると

■パンクによって空気が抜けても潰れずに走れるのがランフラットタイヤ

■パンクしても使い続けられるわけではなくタイヤショップなどへの移動が可能というもの

■一般的にランフラットのほうが購入コストは高くなる

パンクしても走行可能な構造のタイヤを指す

「ノーパンクタイヤ」という言葉を聞いたことがあるだろうか? 文字どおりパンクしないタイヤのことで、現在では「ランフラットタイヤ」と呼ばれるようになっている。特徴は明快で、パンクしても走行可能な構造のタイヤのことを指すのだが、パンクしても走れるタイヤとは、いったいどういうタイヤのことを言うのだろうか?

 その前に、まずタイヤにかかわるトラブルを挙げておこう。主に、タイヤが破裂するタイヤバースト、サイドウォール部を損傷(裂傷)させる例、鋭利な物(クギ、金属片など)を踏みトレッド部に穴を開けてしまう例などがある。タイヤバーストは、文字どおりタイヤが破裂する状態で、タイヤの許容限界を超す重荷重や高負荷の走行条件下(とくに摩耗が進んだ状態のタイヤ)で起こることが多く、主に高速走行中のトラックが発生させる例が多い。このケースは、瞬時にしてタイヤが飛散するため、バーストと同時に車両は走れなくなり、車両のコントロールを失う場合もある。

 サイドウォールの損傷は、タイヤのサイドウォール部が路上の鋭利な物に接触して損傷するケースで、不整地走行中にサイドウォール部を岩角などに接触させ損傷させてしまうケースだ。この例も、損傷と同時にタイヤ内部の空気が一気に漏れ出てしまうため、タイヤとしての機能が失われ、走行不能(極低速の移動は可能な場合もある)となってしまう。

 鋭利な物(クギなど)を踏んでトレッド面に穴を開け、そこから空気が漏れ出すトラブル、いわゆるパンクは、タイヤに関するトラブルのなかでも、もっとも多い発生例だ。タイヤは、内部に気体(主に空気、競技用では窒素の場合もあり)を封入し、その張力によって車体を支える働きを持つ。気体封入構造とすることで、走行中のタイヤを適度にたわませ、路面の凹凸や旋回Gを上手く吸収し、路面接地力を高めたり、乗り心地をよくしている。

 これが現代のタイヤ、空気入りタイヤの基本的な考え方で、ジョン・ボイド・ダンロップ(ダンロップラバー創設者)によって実用化された空気入りタイヤである。ちなみに、それまでのタイヤはゴムの剛体で、乗り心地も良くなければ、接地性能もよくなかったが、唯一、パンクをしないことが大きな特徴だった。

 走行中のタイヤが、何らかのトラブルによって内部に封入した気体を失ってしまうと、走行不能になる、あるいはコントロールを失うことで危険な状態に陥ることになり、可能な限り避けたい走行場面である。こうしたことから、内部の封入気体を失っても走れるタイヤとして考え出されたのが、ランフラットタイヤである。


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