自動車業界で盛んに語られる「カーボンニュートラル」とはそもそも何? なぜいまEV化が必要なのか (1/2ページ)

この記事をまとめると

■いま世界的に「カーボンニュートラル」への取り組みが進んでいる

■目的はCO2排出量の差し引きをゼロにして地球温暖化を抑えること

■そのために自動車業界ではEV化が促進されている

ゼロは無理でもニュートラルの実現は可能だ

 菅総理が2020年10月の臨時国会で発した「2050年カーボンニュートラル宣言」以来、日本国内でも二酸化炭素排出問題について、機会あるごとに取り沙汰されるようになってきた。二酸化炭素の削減は、歯止めがかからない地球温暖化を抑えようという考え方が基本にある。地球温暖化が懸念され始めたのは1970年代に入ってからのことで、1985年、世界で初めての地峡温暖化に関する会議(フィラハ会議)が開かれたのをきっかけに、この問題が大きく注目されるようになっていた。

 ちなみに「ゼロカーボン」ではなく「カーボンニュートラル」と表現されるのは、二酸化炭素の排出をゼロにするのは現時的に無理であり、排出した二酸化炭素と同量を吸収または除去することで差し引きゼロ、つまり中立(ニュートラル)状態にしよう、という意味からである。そしてその実現のためには排出する二酸化炭素をできる限り少なく抑えるのがキモになる。

 地球温暖化とは、文字どおり地球の温度(気温、水温)が上昇することで、大気中の温室効果ガスが地表から放射される熱を吸収し、大気を温めてしまうことがその原因と考えられている。ちなみに温室効果ガスとは、二酸化炭素、メタン、一酸化二窒素、フロンのことで、このうち二酸化炭素が全体の76%を占めることが報告されている。

 すでによく知られていることだが、地球温暖化の影響を整理すると、海水位の上昇、気候変動が挙げられ、陸地の水没、気候帯の変動などにより、人間を始めとする動植物の生存に致命的な影響をおよぼすことが確実視されている。言ってみれば、地球温暖化は地球存続の危機に直結する大問題として、現在、世界規模での対策が急ピッチで進められている。

 こうした意味で、自動車の排出ガスに含まれる炭素化合物(一酸化炭素と炭化水素は、排出量ゼロではないが、早い段階で削減が実施されている)、すなわち二酸化炭素の排出量を見てみると、二酸化炭素総排出量(2019年、国交省発表)の約15.5%を占めるという。ちなみにもっとも多いのは産業部門で34.7%、業務その他部門が17.4%、家庭部門が14.4%などとなっている。また、自動車が排出する全二酸化炭素のうち、自家用自動車が55.5%、営業用貨物車が24.6%、自家用貨物車が19.9%という排出割合になっている。


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