なんとCVTやハイブリッドで闘うモータースポーツがある! 全日本ラリーの「JN6」クラスの面白さ

女性ドライバーの活躍も魅力!

 国内ラリーのトップシリーズ、全日本ラリー選手権では改造範囲や駆動方式、排気量に応じて6クラスが設定されており、各クラスにさまざまなマシンが集結している。

 たとえばJN1クラスを見てみると対象車両は「気筒容積が2500ccを超える4輪駆動のRJ車両もしくは四輪駆動のR車両」で、スバルWRXや三菱ランサー、トヨタGRヤリスなどの国内規定モデルに加えて、シュコダ・ファビアR5など国際規定モデルが参戦。最高峰クラスとして、ピュアな競技車両が参戦しているが、その一方でJN6クラスを見てみると身近なマシンが最前線で活躍している。

 JN6クラスの対象車両は「気筒容積が1500cc以下のRPN車両(ATに限定)およびAE車両(気筒容積区分なし)」で、簡単にいえば1500cc以下のATモデルと電気自動車およびハイブリッド車両を対象にしたクラスとなる。2021年6月11日〜13日に群馬県高崎市を舞台に開催された第6戦の「モントレー2021」にもJN6クラスにはコンパクトハッチのトヨタ・ヤリスやトヨタGRヤリス、トヨタ・ヴィッツのほか、ハイブリッドのトヨタ・アクアなどさまざまなCVT/ATモデルが集結。過去には日産ノートe-POWERも参戦しており話題を集めた。

 また2ペダルとなっていることから、ドライビングにおける負担が少なくなっていることが影響しているのだろう。CUSCO RACINGでトヨタ・ヤリスを駆る水原亜利沙、TEAM NENCでトヨタ・ヴィッツを駆る兼松由奈など数多くの女性ドライバーが参戦していることもJN6クラスの特徴と言っていい。

 キャロッセの長瀬努代表によれば「JN6クラスのマシンは改造範囲が狭いので、ベース車両にプラス100万円もあれば十分に競技車両として製作可能です。タイヤのサイズも小さいのでランニングコストも抑えられると思います」とのことでJN6クラスはもっとも身近な全日本ラリー選手権となっている。

 ちなみに1500cc以下のRJ車両およびRPN車両を対象に争われるJN5クラスでもATおよびCVTの2ペダルモデルが活躍している。なかでも注目を集めているのが、これまで長年に渡ってトヨタ・ヴィッツで戦ってきた天野智之で、第5戦の丹後ラリーでGRヤリスRSにマシンをスイッチ。同マシンはCVTを搭載したFFモデルで「5ドアのヤリスに比べると車両重量が重いけれど、CVTはシフトのロスがなく、パワーバンドを維持して走れるので武器になると思います」と天野は語る。

 そのほか、大倉聡がトヨタ・ヴィッツで上位争いを展開するなど、激戦のJN5クラスでも身近な2ペダル車両が活躍。とはいえ、コーナリングスピードは速く、そのアクションは迫力満点となっているだけに、全日本ラリー選手権のJN5クラスおよびJN6クラスでは身近なコンパクトカーの新たな一面をチェックすることができるに違いない。


廣本 泉 HIROMOTO IZUMI

JMS(日本モータースポーツ記者会)会員

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スバル・フォレスター
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