圧巻のブレーキ! 衝撃の安全性! 世界の誰にも負けない「無双」ポイントをもつクルマたち (1/2ページ)

クルマ全体のパッケージが凄いポルシェ911のブレーキ

 ジェネラリストかスペシャリストか。これ、クルマを選ぶときに悩む点でもある。総合性能が高い車種にする人がいる一方で、一芸に秀でた車種を好む人もいる。で、自分を含めた後者で決め手になるのがブランドのこだわりだ。

 たとえばポルシェ911のブレーキ。僕も何度か試乗して感じているところだけれど、ブレーキのサプライヤーとして有名なブレンボのウェブサイトにも、5年前のものではあるが、立証する記事がある。ドイツの自動車雑誌がブレーキに定評の50台について、100km/hから停止するときに必要な距離を測ったところ、1位に輝いたのは911GT3だったというのだ。

 個人的な経験では、911のブレーキの素晴らしさはリヤエンジン方式によるところも大きいと思う。制動時にはどうしても荷重が前に移動するけれど、911はもともとリアが重いので、前後の荷重配分がイーブンに近づくからだ。逆に言えば、フロントエンジンのカイエンやマカンも、SUVとしてはブレーキはいいけれど、感動するほどではない。

 自分が何台か所有したことがある優れモノでは、シトロエンの乗り心地がある。かつてのハイドロニューマチック・サスペンションから、現在のC5エアクロスに搭載されているプログレッシブ・ハイドローリック・クッションまで、シートを含めてとにかく快適性にこだわっていて、乗ってもその効果が感じられる。普通の金属ばねのサスペンションの車種でも、同じ印象を受ける。

 そんなシトロエンを6台乗ってきた僕が感じているのは、柔らかいとか揺れないとか、物理的なモノサシでは表現できないレベルにあること。鋭いショックはわりと伝えるし、高速道路でフラットになるわけでもない。人間にとって心地よい揺れを、クルマで表現しているようなのだ。タイヤの上の1/fゆらぎという感じなのである。


森口将之 MORIGUCHI MASAYUKI

グッドデザイン賞審査委員

愛車
1971シトロエンGS/2002ルノー・アヴァンタイム
趣味
ネコ、モーターサイクル、ブリコラージュ、まちあるき
好きな有名人
ビートたけし

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