日本のホンダファン軽視が原因? 「2代目NSX」が初代のような「伝説の名車」になれず短命に終わったワケ (1/2ページ)

この記事をまとめると

■2代目ホンダNSXが生産終了せざるを得なくなった理由をまとめた記事である。

■2022年12月で生産終了するNSXだが、今から新車を購入することはほぼ不可能である。

■日本のホンダファン、NSXファンに向けたクルマづくりが必要だった。

和製スーパースポーツはどうして消える羽目になったのか

 NSXは2022年12月に生産を終える。1年以上も先だが、現時点でNSXを新車で買うのは、もはや実質的に不可能だ。NSXを扱う販売店の「NSXパフォーマンスディーラー」では、以下のように説明した。

「NSXの標準グレードは、すでに販売を終了した。これから最終モデルのNSXタイプSを発売するが、その生産台数は海外向けが320台、日本向けは30台と少ない。しかもタイプSは、従来のグレードと異なり、すべてのNSXパフォーマンスディーラーが販売するわけではない。メーカーの選定する特定の販売会社に限られる。当店はNSXパフォーマンスディーラーだが、残念ながらメーカーから割り当てを受けていない。購入希望のお客様から頻繁に問い合わせをいただくが、すべてお断わりしている」。

 NSXが生産を終える本質的な理由は、この販売店のコメントに集約される。メーカーの都合で開発され、販売に関してもメーカーが一方的に決めていることだ。メーカーから見れば、ユーザーは販売店の向こう側にいて、販売店の不都合や不満はユーザーの満足度に直結する。そこをメーカーは理解できていない。

 ホンダは「NSXが使命を終えたから生産も終了する。今後は新しい時代に相応しいスポーツカーを模索していく」と述べるが、この内容は不明で、NSXがタイプSで最終型になることは確かだ。それなら期限を決めて受注を行い、それまでに契約した車両は、責任を持って生産すべきだ。

 S660においても、ホンダは2021年3月に「2022年(来年)3月に生産を終える」と発表した。ところが生産規模が小さいため、2021年3月末には翌年の生産枠まですべて埋まり、2021年4月にはS660の受注を打ち切った。この件もたとえば2021年5月末日という具合に期限を決めて受注を行い、購入希望者には行き渡るようにすべきだった。


渡辺陽一郎 WATANABE YOICHIRO

カーライフ・ジャーナリスト/2023-2024日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員

愛車
フォルクスワーゲン・ポロ(2010年式)
趣味
13歳まで住んでいた関内駅近くの4階建てアパートでロケが行われた映画を集めること(夜霧よ今夜も有難う、霧笛が俺を呼んでいるなど)
好きな有名人
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