限定車ベースの超限定車まであった! 最後の自然吸気V12ランボルギーニ「アヴェンタドール」の「華麗すぎる」特別モデルの世界 (1/3ページ)

この記事をまとめると

■ランボルギーニのフラッグシップであるアヴェンタドールがまもなく生産終了を迎える

■10年以上に渡り生産されたアヴェンタドールには数多くの派生モデルや限定モデルが存在

■アヴェンタドールは自然吸気のV型12気筒エンジン搭載の最後のランボルギーニとなる

ランボルギーニ史上もっとも成功した12気筒エンジン搭載車!

 アヴェンタドールは、2010年に生産を中止した12気筒モデルの「ムルシエラゴ」の後継車として誕生した新世代の12気筒2シーター・ミッドシップ車だった。

 ディアブロが、当時の親会社であったクライスラーの意見を重視し、「P132」、「アコスタ」、「カント」とさまざまなプロトタイプを製作したうえで誕生したのに対して、ムルシエラゴは1998年にランボルギーニを手中に収めたアウディの影響力の強さもあり、比較的容易にそのスタイリングがまとめられた。その事情はここからさらに10年を経て誕生したアヴェンタドールにおいても変わらない。

 アヴェンタドールは、もちろんカウンタック以来の伝統であるV型12気筒エンジンを、リヤミッドに縦置き搭載したモデルではあるが、デビュー時に当時のCEOであり、先日再びランボルギーニへと戻ってきたステファン・ヴォンケルマンによれば、それは「2世代分を一度のフルモデルチェンジで進化させたモデル」であるという。

 たしかにそのメカニズムを仔細に見れば、排気量はムルシエラゴにほぼ等しい6.5リッターながら、ボア×ストローク値を88×86.8mm〜95×76.4mmに変更するなど、新開発されたV型12気筒エンジンをはじめ、それに組み合わされる7速セミAT(ISR)、電子制御クラッチによる4WDシステム、さらにはプッシュロッド形式のサスペンション、そして最新のカーボンファイバーによるセミモノコック構造の採用など、その進化は歴代V12モデルのなかでも、ミウラとカウンタックの関係と同じくらいにドラスティックな内容だ。

 そのアヴェンタドールの生産が、10年という時間を経て終了することになった。この間に登場したアヴェンタドールのバリエーションはじつに幅広く、超高級ブランドが展開する「多くの種類の製品を、それぞれ少ない数で販売する」という手法が、ついにスーパーカーの世界でも採り入れられていることが理解できる。カスタマーはその商品の特徴とフィニッシュに共感し、売り手がつけたプライスを勝手に理解してそれを購入する。それが現在の勝ち組スーパーカーメーカーの現実なのである。

 さて、それではこの約10年間に、アヴェンタドールにはどれだけのモデル、あるいは派生モデルが誕生したのだろうか。まず基本となるのは、2011年のジュネーブ・ショーで発表された「アヴェンタドールLP700-4(LP700-4、以下同)だろう。ここからさらに50馬力のエクストラパワーを得た「ハイパフォーマンスモデルのLP750-4SV」が誕生し、2016年には「S」へとマイナーチェンジがおこなわれる。

 モデル名が簡略化されたのは、Sのデビューに前後して、ランボルギーニ社のCEOがステファン・ヴィンケルマン氏からステファノ・ドメニカリ氏に変わったことが理由としては大きいようだ。ちなみに前期型のLP750-4に相当する高性能版は2018年に「SVJ」として登場。「J」が伝説のモデルたるあのイオタを示すのは常識だろうか。

 多くの商品を、各々少なく売る。そのコンセプトの第一弾が現実になるのは2012年のジュネーブ・ショーでのことだった。ここでランボルギーニは、その名も「J」と呼ばれる伝統的なイタリアン・バルケッタのスタイルを持つワンオフのオープンモデルを披露。


山崎元裕 YAMAZAKI MOTOHIRO

AJAJ(日本自動車ジャーナリスト協会)会員 /WCOTY(世界カーオブザイヤー)選考委員/ボッシュ・CDR(クラッシュ・データー・リトリーバル)

愛車
フォルクスワーゲン・ポロ
趣味
突然思いついて出かける「乗り鉄」
好きな有名人
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