電気かガソリンかなんて議論はもはや問題外! 自動車メーカーに求められる重要課題とは (1/2ページ)

この記事をまとめると

■クルマの進化はコロナ禍により一時停滞を余儀なくされた

■商品としてのクルマの進化だけでなくカーシェアによる大幅な保有台数の削減が求められる

■個人の移動を守る仕組みがコネクテッドであり事業を転換できたメーカーが生き残れる

20世紀で大きく変わった製造業の在り方が問われている

 2020年は、21世紀となって20年目であった。そして、クルマがどのように進化するかというひとつの方向性が見いだされるかと思われた。だが、新型コロナウィルスによるパンデミック(感染拡大)によって、クルマの進化とは別の部品供給の停滞という事態に直面した。現在もその影響は続き、ことに半導体の入手が困難となって、電子制御と情報・通信の連携が進むクルマは生産に打撃を受けた。

 三密を避けることが感染症予防の原則であり、それによって人が一か所に集まって生産に従事する工場の操業が容易でなくなっただけでなく、輸送や輸出入の港湾作業に従事する人たちが存分に働けない状況が生まれた。これまで原価重視で、安価に製造できる地域で生産してきた部品の供給も運搬に制約を受けることになったためだ。

 そこで、国内での半導体生産への模索を含め、従来の原価のみを優先した物流から脱却した製造業の在り方が問われることになる。これはクルマだけの課題ではなく、電気機器などを含め、家庭生活に関わる製品などにも影響は及ぶ。それによって、大手製造会社の経営にも圧迫が掛かってくることになるかもしれない。

 20世紀初頭に米国のヘンリー・フォードが大量生産の仕組みを編み出し、フォードT型が販売台数を一気に増やしたことや、石油産業による樹脂製品の誕生により、型に樹脂を流し込めば安価に品物を大量生産できることになり、大量消費と使い捨てが日常となった。その結果、今日ではマイクロプラスチックの海洋汚染など含め、環境負荷の大きな暮らしを当たり前だと思う感覚に世界が汚染されたのである。


御堀直嗣 MIHORI NAOTSUGU

フリーランスライター/2023-2024日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員

愛車
日産サクラ
趣味
乗馬、読書
好きな有名人
池波正太郎、山本周五郎、柳家小三治

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