トヨタの「野心」爆裂! ヤリスの頂点「GRMN」にGR GT3もあって見どころしかない【東京オートサロン2022】 (1/2ページ)

市販モデルのハイライトは2台のGRMNヤリス!

 意外にも、ホール8の一番奥、トヨタGAZOOレーシングのブースはしっとりと暗い。正確にはスポットライトを浴びるべき主役が多々あるので、光と陰のコントラストで浮かび上がらせる、という演出だ。

 周知のとおり、「走って壊して直す」を繰り返して人材ごと強くなることを目指すトヨタGAZOOレーシングおよびルーキー・レーシングは、今やある意味、トヨタの開発の1丁目1番地でもある。今回の東京オートサロンの展示テーマを、トヨタは「モータースポーツを起点としたもっといいクルマづくり」に定めてきた。

 ワールドプレミア(世界初)発表の市販モデルやコンセプトも野心的といえるが、スーパー耐久を闘ってきたあの水素カローラをはじめ、2021年ル・マン24時間を制覇した#7のトヨタGR010ハイブリッドの、レプリカとはいえWRCでコンストラクターとドライバー両タイトルを獲ったヤリスWRCとのツーショットなど、なかなかお目にかかれるものではない。

 要は耐久やラリーのチャンピオンマシンを背景に、コンセプトから市販のスペシャル・モデルまで、開発現場からユーザーエンドへの提案まで、一気通貫にトヨタGAZOOレーシングの今を眺められる贅沢な展示となっていたのだ。初日朝一番のプレスカンファレンスとはいえ、モリゾーこと豊田章男社長とレクサスとGAZOOレーシング両カンパニーのプレジデントでトヨタのチーフブランディングオフィサーを兼ねる佐藤恒二氏が、リモートとはいえ掛け合いのトークを通じて、見どころを紹介するというリラックスしたものだった。

 今回、市販モデルのハイライトは「GRMNヤリス」。GRヤリスをさらに磨きこんでチューニングしたバージョンだが、驚くことに「ラリーパッケージ(エモーショナルレッドⅡ)」と「サーキットパッケージ(マットスティール)」という異なる2台が用意された。前者が837万8764円、後者が846万7000円だ。ベースモデルは上記ふたつのパッケージとは別にラインアップされ、731万7000円となる。ドライバーファーストを掲げるモータースポーツベースのヤリスとして、同時に補強ブレースや機械式LSD、クロスミッションやローファイナルギアキットも発売されている。

 気になるチューニングメニューは、545点にも及ぶスポット増し打ち、構造用接着剤の延長による接合部の高剛性化。ストラット周りやAピラー付け根に印をつけられたベアボディも展示された。エンジンフードやルーフパネルはカーボンでさらに軽量化されている。1.6リッターエンジンは272馬力・390Nmというスペックで、S耐や国内ラリーでのカスタマーレーシング需要を見込んだ究極のGRヤリスといえるだろう。


南陽一浩 NANYO KAZUHIRO

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