スポーツカーなんて売れない……時代にエライ! 「頑張ったで賞」をあげたい21世紀のスポーツモデルとメーカーとは (1/2ページ)

この記事をまとめると

■ここ15年前後に販売された印象的なスポーツカーをピックアップ

■スポーツカーが全然ないと言われながらも探すと結構な台数が販売されている

■今でも人気なモデルとして、後継車が出ている

スポーツカー市場は実際のところかなり頑張っている

 トヨタ自動車の豊田章男社長が2020年のGRヤリスのお披露目に際して「トヨタのスポーツカーを取り戻したい」と発言したことは、いまも記憶に残る。

 それまでトヨタにスポーツカーがなかったわけではないが、86(現在のGR86)やGRスープラといったFRスポーツカーの開発がトヨタ単独ではなく、ご存じのようにSUBARUやBMWと共同開発だったことを意識した発言だったかもしれない。とはいえ、2012年に86/BRZを誕生させてから、国産スポーツカー・シーンはトヨタを軸にまわっていたのも事実。日本市場にスポーツカーを取り戻すことに、トヨタは大いに貢献した。

 では、他メーカーはスポーツカーを諦めていたのだろうか。答えは「ノー」だ。ここでは86/BRZが誕生する以前の2000年代から国産スポーツカーの火を灯し続けるべく、頑張ってきた国産スポーツカーの進化と深化を振り返ってみよう。

 2000年代後半といえば、日本ではハイブリッドカーのムーブメントが高まってきた頃だが、その一方で、日産が満を持してスポーツフラッグシップであるGT-Rの市販を開始した時期でもある。現行型R35型GT-Rのデビューは2007年12月。専用の3.8リッターV6ツインターボエンジン、リヤに6速DCTを配置したトランスアクスルレイアウト、当然のように可変トルクスプリット型4WDを採用することで全天候型スーパーカーという独自のキャラクターを確立した。そして、2022年のいまでも生産は継続されている。

 基本メカニズムを変えずに生産しているだけと思うかもしれないが、そんなことはない。初期型では480馬力だったエンジンは、最新のNISMOでは600馬力までパワーアップしている。ボディについても、たとえば2016年に発表されたマイナーチェンジではCピラーの形状変更(エッジがなくなった)が敢行されるなど、実は着実に進化している。ほかにもアンダーパネルの折れ曲がった部分の形状を見直すことで空力性能を見直すなど、見えないディテールまで目を配りつつ進化を遂げているのがR35型GT-Rなのである。

 かつてAE86型カローラレビン/スプリンタートレノがブームになったのは、それがヤングドライバーにとっても手頃な価格でなおかつスポーツドライビングが楽しめるからだったが、2000年代から2022年に至るまで、一貫して入門スポーツカーの代表格であり続けているのが、スズキ・スイフトスポーツだ。

 2003年に誕生した初代スイフトスポーツ(HT81S)は、とにかく軽量なボディに気持ちよくまわる1.5リッターエンジンを載せたライトウェイトなホットハッチで、ヤングドライバーにフレンドリーな価格設定も魅力だった。

 2005年に誕生したZC31型スイフトスポーツ、2011年にフルモデルチェンジしたZC32型スイフトスポーツは、ともに1.6リッターのNAエンジンを搭載。ZC32型では6速MTを組み合わせるなど上級スポーツカー並みのメカニズムも与えられた。いずれもシャシー性能の高さが評価され、ドライビングを楽しめるFFホットハッチと評価されるようになっていく。

 2017年に登場したZC33型スイフトスポーツは、世界的なトレンドに則って、1.4リッターターボエンジンを搭載。欧州仕様のボディは、ついに3ナンバーとなったが、車重自体はZC32型より50kg以上も軽いということで、コーナリングの楽しさも向上している。

 ターボエンジンらしいトルクは立ち上がり加速も抜群で、チューニング次第では格上のスポーツカーを追いまわすこともできるほど高いポテンシャルを持っている。


山本晋也 SHINYA YAMAMOTO

自動車コラムニスト

愛車
スズキ・エブリイバン(DA17V・4型)/ホンダCBR1000RR-R FIREBLADE SP(SC82)
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モトブログを作ること
好きな有名人
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