本気で使えるクルマは1車種のみ! 国産SUVの3列目シートを比較検証してみた (1/2ページ)

この記事をまとめると

■SUVの3列目シートは使えるのかどうか検証

■日本市場だけで3列目を持つSUVは7種類以上存在する

■国産車ではCX-8が一歩リードしていると言えそうだ

無いよりマシだけど座れるの? SUVの3列目シートを比較してみた

 新型アウトランダーのトピックのひとつが、PHEVのみになったことと、先代モデルにはなかったPHEV+3列シートのパッケージングである。アウトランダーは先代のほとんどがPHEVで売れていたにもかかわらず、3列シートはガソリン車にしかなかったのである(バッテリーの配置の問題などによる)。

 しかし、ミニバンの専売特許⁉︎ である3列目席が、パッケージ的にはワゴンに近いSUVで、ぶっちゃけ使えるのだろうか。現在、新車で手に入る3列シートを持つSUVとしては、マツダCX-8、トヨタ・ランドクルーザー、ランドクルーザープラド、三菱アウトランダー、レクサスRX、日産エクストレイル、ホンダCR-Vなどがある。

 しかし、ズバリ言って、ランドクルーザーやCX-8ぐらいの車格のSUV、というか、全長、ホイールベースを持たないと、3列目のシートはあくまで緊急席、子どもやペット専用席と考えたほうがいい。

 具体的な例で説明すると、国産SUVでもっとも使えると表現できるCX-8は、マツダがミニバンを廃止したことで、それに代わる1台としてCX-8を用意している側面もあり、3列目席に大人がしっかり座れるパッケージングは不可欠。そんなCX-8は、3列目席の乗降性にも優れている。巨大なリヤドアが直角近くまで大きく開き(車体横のスペースは必要)、ウォークイン幅は最小190mm(足もと部分)。

 当然、上半身が通過する幅はもっと広く、降車も無理がない。身長172cmの筆者を基準にすると、3列目席に着座すれば、頭上に80mm、膝まわりに50~120mm(2列目席膝まわり空間180mm時)、そしてフロアからシート前端までの高さ=ヒール段差も、一般的なクルマの後席に匹敵する340mmもあるため、体育座りにならず、着座、立ち上がり性も文句なしなのである。

 シートサイズにしても、クッション長450mm、幅1110mm、シートバック高620mmと、下手なコンパクトカーの後席よりゆったりしたサイズなのだから実用的である。合わせて視界に閉鎖感がなく、これなら短距離、中距離であれば、大人でも不満なくドライブが楽しめることになる。これも、全長4900mm、ホイールベース2930mm、室内長2690mmの余裕あるボディサイズが効いているわけだ。

 しかも、CX-8は3列目席使用時でも、ラゲッジルームの奥行きは500mmもあり、フロア幅が1460mmもあるため、アウトドアや宿泊を伴う荷物もしっかり入る余裕があり、極めて実用的な3列シートSUVであると断言することができる。

 もちろん、巨大な新型ランドクルーザーの3列目席も、たとえば身長160cm程度の人であれば、頭上、膝まわりにそれぞれ85mm程度の空間が確保されるから、さすがに狭さは感じにくい。

 とはいえ、ヒール段差は小さく、膝を大きく立てる体育座り的着座姿勢にはなってしまう。実際、ほとんどのユーザーは、3列目席を格納して使っているはず。というのも、3列目席を使ってしまうと、ラゲッジルームの奥行きは250mm程度でしかなく、世界最高峰の走破性を生かしたアウトドアや冒険旅行に必要な荷物を積み切れないからである。


青山尚暉 AOYAMA NAOKI

2023-2024日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員

愛車
フォルクスワーゲン・ゴルフヴァリアント
趣味
スニーカー、バッグ、帽子の蒐集、車内の計測
好きな有名人
Yuming

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