【試乗】0-100km/h加速3.8秒の弾丸っぷり! マセラティの新作SUV「グレカーレ」は日本での成功間違いナシの走りだった (1/2ページ)

この記事をまとめると

マセラティの新しいミドルクラスSUV「グレカーレ」に試乗した

■スポーツカーのように加速する530馬力の「トロフェオ」の運動性能は非常に高い

■ベースモデルとなる「GT」も300馬力の直4を搭載しており性能的には十分だ

ひとまわり小さくなったボディは日本にもジャストサイズか

 世界的な半導体不足の影響を受けて、デビューが半年ほど遅れていたマセラティのミドルクラス(Dセグメント)SUV、「グレカーレ」が、ついに市場へと投入されることになった。ちなみにマセラティのラインアップには、さらにボディサイズの大きなSUV、レヴァンテが用意されているが、グレカーレを見た第一印象としては、やはりポルシェのカイエンとマカンの関係がそうであるように、日本においてはグレカーレの方がベストサイズに思える。

 グレカーレには、現在のところ3タイプのグレードが用意されており、トップモデルの「トロフェオ」はMC20にも採用された副燃焼室を持つ、3リッターのV型6気筒ツインターボエンジンをグレカーレ用に改良したユニット。潤滑方式がMC20のドライサンプから、グレカーレではウエットサンプになったことなどが特徴で、また最高出力も530馬力へと若干デチューンされている。

 残りの2モデルはいずれもマイルドハイブリッド仕様の「モデナ」と「GT」だ。そのシステムは、2リッターの直列4気筒エンジンに48Vバッテリー、e-Booster、BSG等のコンポーネントで構成されるもので、BSGはオルタネーターとして機能するほか、エンジンに組み合わされるe-Boosterに電力を供給。

 それによって電動コンプレッサーを駆動させることで、低速域から高速域までパフォーマンスを補完する仕組みだ。最高出力はモデナが330馬力、GTは300馬力と発表されている。さらに付け加えておくと、近くグレカーレのラインアップには、BEVの「フォルゴーレ」が追加される予定となっている。

 ミラノの地で対面したグレカーレは、やはりマセラティの作らしく、一目でそれがどんなSUVなのかを知りたくなる魅力的なボディデザインを持つモデルだった。無駄なラインを使うことなく、そのシルエットだけで造形の美しさを表現するのは、デザイナーにはなかなかに難しいことなのだろうが、マセラティのチームはそれを見事にやり遂げた。もちろんそれでもこれがマセラティの作であることを主張するディテールはいくつも盛り込まれている。

 ワイドなフロントグリルと個性的なヘッドライトの組み合わせはMC20のそれにも共通するもので、これはこれからのマセラティの顔となるもの。フロントフェンダーの後方に設けられた3連のエアベントや、かつての3200GTを思い浮かべるテールランプのデザインなど、伝統的なディテールを効果的に採り込んでいるのも好印象だ。

 今回のプログラムでは、おもにトップグレードのトロフェオに試乗した。モデナやGTとの違いは前で触れたエンジンのほかに、エアサスペンションが標準装備となること。ブレーキがより強力な、フロント360mm径ディスク+6ピストンキャリパー、リヤは350mm径ディスク+4ピストンキャリパーとなることなど。

 ボディサイズはとくに全長方向では3モデル中、もっとも大きな4859mmとなるが、ホイールベースも2901mmと設定されているため、狭い市街地での使い勝手も、全長が5000mmを超え、ホイールベースも3000mm以上のレヴァンテよりはるかに優れている。

 感動的なのはそのインテリアのフィニッシュだ。高級で上質なレザーを用いたイタリアのクラフトマンシップを感じさせるその空間は、いかにも居心地の良い高級なリビングルームといった印象。センターコンソールには12.3インチのセンターパネルと8.8インチのコンフォートパネルが装備され、ほとんどの操作はこのパネルから行うことが可能だ。

 さらに、その上にはデジタル化されたクロックが取り付けられているが、これとてアナログ形式の時計のみならず、デジタル式の時計、Gメーター、ラップタイム表示など、さまざまな機能を統一したものだ。


山崎元裕 YAMAZAKI MOTOHIRO

AJAJ(日本自動車ジャーナリスト協会)会員 /WCOTY(世界カーオブザイヤー)選考委員/ボッシュ・CDR(クラッシュ・データー・リトリーバル)

愛車
フォルクスワーゲン・ポロ
趣味
突然思いついて出かける「乗り鉄」
好きな有名人
蛯原友里

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