ホンダはEV時代でも面白いスポーツカーを出してくれる! 「四輪電動ビジネスの取り組み」発表でベールを被った2台を公開 (1/2ページ)

この記事をまとめると

ホンダが「四輪電動ビジネスの取り組み」を発表した

■ハード売り切り主体のビジネスから、複合型ソリューションビジネスへの変革を目指す

■グローバルレベルでふたつのスポーツモデルが投入されることも明かされた

ハードを売るだけの企業からの脱却を目指すホンダ

 1年前に一新された経営陣の下で進める、中長期的な電動化戦略をホンダが発表した。「新世代バッテリーが2020年代後半にできた場合、あるいは30年代までかかった場合」などと、不確実性すら考慮しながら三部敏弘社長以下、財務畑の竹内弘平副社長、EV担当の青山真二専務のふたりの重役が答弁するという、機関投資家にも向けられた内容が生々しい、印象的な説明会となった。

 周知のとおり、ホンダは長期的目標として2050年のカーボンニュートラルを掲げている。四輪・二輪・発電機などパワープロダクトや航空機まで、モビリティ・カンパニーとしてのホンダの規模は3000万台にも達する。

 そのため、環境負荷ゼロの循環型社会を目指しつつ、多様なモビリティ、生活環境、プロダクトのライフサイクルや社会とエネルギーといった課題に対し、単にエンジンをバッテリー&モーターに置き換えるだけではない、多面的アプローチを目指すという。

 その取り組みの柱は、既存事業の盤石化、つまり四輪製品の強化で、直近では昨年投入された新型ヴェゼルやシビックの好調が挙げられるだろう。これは、モノづくり改革の効果でもあり、事業の盤石化・強靭化は次なる投資にも当然、結びつくという。

 それは魅力あるプロダクトを作り出すのと並行して、派生モデルの数を2018年比で3分の1に減らし、生産コストを10%削減することでもある。派生モデル削減は現時点で2分の1にまで進み、生産コストについては生産キャパシティを整理することで10%削減の目途は立ったという。

 そうして浮いたリソースが、成長のため未来に向け投じられる。それがアバターロボットや宇宙領域への挑戦、ホンダeVTOLといった形で、研究所で成果として現れ始めている。いわばホンダは、既存事業の置き換えにとらわれるのではなく、先進技術から事業と商品開発、それぞれの成長分野に投資する両輪体制というスタンスなのだ。四輪だけでなく、多様なモビリティを3000台規模で提供する唯一無二の独自カンパニーとしての矜持も垣間見える。

 具体的には、今後10年で8兆円の投資をホンダは見込んでいる。内訳は、電動化とソフトウェア領域に5兆円、資源循環や新領域には同じく10年で1兆円を、継続的に投資していくという。残りの1兆円は有望な先端技術やスタートアップ企業、ビジネスモデルへの積極出資など、機動的に用いられるようだ。

 電動化戦略と時を同じくして、ホンダはこれまでのハードを売り切るビジネスから脱却し、コネクテッドプラットフォームなどハードとソフトウェアを融合させた商品、さらには事業ポートフォリオの変革にも取り組んでいる。従来の二輪・四輪・パワープロダクトの3つからなる運営体制とリソースが、今後は「電動商品とサービス、バッテリー、エネルギー、モバイルパワーパック、水素」をコアに、それらを横断して繋げる「ソフトウェア、コネクテッド領域」という事業開発本部を設けたほどだ。

 というのも、多彩なモビリティを抱えるホンダにとっての電動化モビリティとは、二輪などの交換式バッテリーのような軽快なユーザビリティのものから、車体重量が嵩んでもレンジの長さを追求するなら水素燃料電池の方が有効で、自動運転タクシーのようなモビリティ・サービスもありうる。「さまざまな移動とエネルギー」のあり方、データ、国や地域ごとの顧客ニーズによりけりなのだ。


南陽一浩 NANYO KAZUHIRO

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