【試乗】やっぱりアルファは凡庸なクルマを作らない! 小型SUV「トナーレ」の「気持ちいい〜!」が圧巻だった (1/2ページ)

この記事をまとめると

アルファロメオ初となるCセグメントSUVの「トナーレ」にイタリアで試乗した

■コンパクトなサイズは道幅の狭い試乗コースでも持て余すことがなかった

■ハイブリッド走行は自然で心地よく、曲がりっぷりもアルファロメオらしい気持ちよさ

狭い道を苦にしないコンパクトなサイズは日本にジャストフィット

 近頃のSUVには、わりと元気に加速して軽快に曲がってくれるクルマが結構ある。鈍臭いクルマというのがほとんどない。昔のこの手のクルマを知ってる身としてあらためて考えると、驚くべきことだ。SUVに乗ってわりと当たり前のように「スポーティだな」と感じる日々が来るなんて、あの頃は思ってもいなかった。技術の進化というのは素晴らしい。

 その「スポーティだな」の最右翼は、スーパーカー並みのパワーユニットを積み込んだスーパーSUVとでも呼ぶべきクルマたちを除けば、僕はアルファロメオのステルヴィオだと思ってる。あのキレのいいシャープな曲がりっぷりは、何度味わっても楽しいし気持ちいい。

 けれど、サイズの問題が引っ掛かる人がいるのも事実。とくに1905mmという横幅に大きさを感じる人が多いようだ。イタリアで開催された国際試乗会でようやく乗ることができたトナーレは、そうした人たちにとっての最良の選択肢にもなるんじゃないか? と思う。

 御存知のとおりトナーレは、アルファロメオ初のCセグメントSUV、つまりステルヴィオの妹のような存在だ。全長4528mm×全幅1841mm×全高1601mmというサイズは、それぞれ162mm、64mm、79mm小さい。いずれ日本に上陸したら表記上の数値が変わる可能性はあるけれど、ざっとステルヴィオよりひとまわりコンパクトだということはおわかりいただけるはずだ。

 試乗したルートの大半が湖と山の間に街が作られてるエリアだったこともあって、道幅はほとんどのところが狭かった。街と街をつなぐワインディングロードのようなところも走ることはできたが、対向車とすれ違うのにもだいぶ気を使うようなところが多かった。日本にもありがちなそうしたシチュエーションでも、そう難儀することがなかったことはちゃんとお伝えしておこう。このサイズ感、なかなかいい。

 でも、サイズ感がいいSUVってことなら、ほかにもたくさんある。トナーレの場合はルックスが瞬時に目が惹き付けられるほど印象的で、そこがまたまた大きな魅力なのだ。ステルヴィオよりさらに彫刻的で、キュッと引き締まっていて、シャープな雰囲気。デザイナー陣の意図したとおり、アルファロメオの熱心なファンであればあるほど過去の名車たちにインスパイアされたディテールをいくつも発見できて嬉しい気持ちになるはずだ。そして、そうじゃなかったとしても、この蠱惑的な佇まいに知らず知らず気持ちが持っていかれる人は少なくないだろう。これはアルファロメオのDNAそのものだ、と思う。

 その内側はどうかといえば、ボディサイズがコンパクトな分、さすがに室内広々、というわけにはいかない。けれど、大人4人とその荷物を積んで小旅行に出掛けるのに不自由がないくらいの広さは確保してる。素材の使い分けが巧みで質感の高いデザインも好印象で、それが居心地をよくしている。

 これまたヘリテイジを感じさせる2眼風メータークラスターの中の12.3インチスクリーンも、インパネのセンターにある10.25インチのタッチスクリーンも視認性はいいし、それらを含めた操作系へのアクセス性もいい。

 整然とスタイリッシュなデザインと機能性がしっかりとリンクしているインテリアだ。


嶋田智之 SHIMADA TOMOYUKI

2023-2024日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員

愛車
2001年式アルファロメオ166/1970年式フィアット500L
趣味
クルマで走ること、本を読むこと
好きな有名人
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