クルマでも「オシャレは我慢」? 輸入ミニバンに日本で乗るとけっして便利ではなかった (1/2ページ)

この記事をまとめると

■数こそ少ないが、輸入メーカーにもミニバンは存在する

■オシャレな見た目などは魅力的だが、装備面では国産車に劣る点も

■輸入ミニバンに日本で乗るのは不便か否かを解説する

輸入ミニバンが重視するのは乗り降りのしやすさよりも走り!?

 2022年はミニバンの当たり年、トヨタ・ノア&ヴォクシー、ホンダ・ステップワゴンが新型となり、ミニバンブーム再燃必至と言っていい。が、ミニバンに対して生活臭を感じるユーザーもいるはずで、多人数乗用車が必要な環境であっても、なかなか国産ミニバンに手を出せないでいることもあるはずだ(それをクリアするのがアルファードであり、VIPを含めた人気のゆえんだが)。

 そこで、輸入ミニバンに目を向けると、確かに国産ミニバンとはちがうオシャレっぽさ、存在感があり、生活臭の薄さも感じ取ることができる。車種で言えば、VWゴルフ・トゥーラン、同シャラン、BMW2シリーズグランツアラー、メルセデスベンツVクラス、シトロエン・グランドC4スペースツアラーが、現時点ですべてである。意外に少ない? と思うのは当然で、欧州の高速社会では、重心や空気抵抗の低さ、横風安定性の高さなどが求められ、ボックス型ミニバンのような、極端に背の高いミニバンは主流になり得ないのである。

 しかも、ゴルフ・トゥーラン、BMW2シリーズグランツアラー、シトロエン・グランドC4スペースツアラーに関しては、国産ミニバンのマスト装備!? でもある両側スライドドアは備えていない。リヤヒンジ式ドアなのである。コンパクト、ミドルサイズの欧州製ミニバンは、スライドドアによる乗降のしやすさよりも、走り、ボディ剛性、耐久性といった部分にこだわっているのかも知れない。

 さらにノア&ヴォクシーやステップワゴンのような、低床パッケージの採用もない。たとえば、両側スライドドアこそ備えているVWシャランを例に挙げると、パワースライドドア部分のステップは地上465mmと高く(国産Mクラスボックス型ミニバンは360~380mm)、しかもフロアはサイドシル部分から70mm下がったところにある。つまり、サイドシルからフロアがフラットではないのだ。

 当然、乗降性としては、低床でサイドシルから段差なくフロアに続く、いわゆる掃き出しフロアを持つ国産ミニバンのほうが乗降性は優れていることになる。これは過去の国産ミニバンでもそうだが、リヤヒンジ式ドアのミニバンは、ワゴンやSUVからの乗り換えならともかく、スライドドアミニバンの便利さを知ってしまった人が乗り換えたとすれば、「不便」と感じるはずである。


青山尚暉 AOYAMA NAOKI

2023-2024日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員

愛車
フォルクスワーゲン・ゴルフヴァリアント
趣味
スニーカー、バッグ、帽子の蒐集、車内の計測
好きな有名人
Yuming

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