日産サクラと三菱eK クロスEVが2カ月で2万8000台! バカ売れで浮上した「55万円」の補助金が受けられない不安

この記事をまとめると

■日産サクラと三菱eKクロスEVの販売が2カ月で2万8000台と非常に好調だ

■令和4年度CEV補助金の総額は155億円で、軽EVであれば2万8000台分に相当する

■補助金は枠が埋まれば打ち切られるので、納車時期によっては補助金を受けられないケースがあるかもしれない

販売2カ月で3万台弱を受注した軽EVが絶好調

 日産サクラの受注台数が、2カ月で2万3000台に達したという。三菱eKクロスEVも5500台近い。合計すると、2万8000台以上に及ぶ。eKクロスEVの台数はサクラより少ないが、販売店舗数の比較からすると、1店舗当たりの平均販売台数では遜色ない成績だ。

 両軽EVの販売動向は、初代リーフが発売された当時に比べ、大きな躍進といえる。初代リーフは年間1万台程度であったのだ。また、国内のEV販売台数は、2021年で2万1000台強だったから、この数字もすでに超えている。

 EVへの補助金額は、登録車で上限が85万円だ。ただし、これはVtoH(ヴィークル・トゥ・ホーム)や外部電源用コンセントなどによる給電機能を車両側が備えている場合で、この機能がない場合は65万円になる。軽自動車は、上限が55万円で、サクラとeKクロスEVがその対象になる。

 EVのほかにも、燃料電池車(FCV)は上限255万円、プラグインハイブリッド車には上限55万円、超小型モビリティは上限35万円が補助の対象となっている。

 EVに加え、FCVやPHEVなども加味すると、どれくらいの台数が販売されるかは見通しにくい。だが、たとえば、サクラとeKクロスEVの2車種だけと仮定し、55万円の補助金が何台に支給できるかを試算すると、補助金総額が155億円なので2万8000台強が受給できる計算になる。逆に、登録車でもっとも高額の85万円で試算すると、1万8000台強という数字になる。

 補助金の申請は、初度登録が済んでから1カ月以内が原則だ。したがって、納車時期を迎えてみないと補助金の動向は判断しにくい。すでに注文した人は、補助金が支給される可能性があるが、この先はなんとも判断しにくい。

 また、受注は好調だが、部品供給の問題によって納車に時間を要している。注文したEVがいつ納車されるかによって、状況は変化するかもしれない。

 日産と三菱自は、補助金の上限に達したあとも、軽EVの商品性を十分に説明し、販売に力を注ぎたいとしている。実際、サクラとeKクロスEVは、ガソリンターボ車よりトルクは2倍近く優れ、力強く走り、静粛性や乗り心地も格段の差がある。また、ガソリン価格が高値であるいま、EVに充電する電気代は半額ほどになるだろう。廉価なグレードを選んでも、日常的な利用で満足をより感じられる軽乗用車であるのは間違いない。

 それでも、購入予算が限られる場合は、来年度の補助金枠で購入できる時期を検討するのも一案かもしれない。

 受注や販売動向だけでなく、いつ納車されるか(すなわち初度登録がいつになるか)によって、補助金申請時期が変わるので、そのあたりを含め、販売店とよく相談しながら注文するといいのではないか。


御堀直嗣 MIHORI NAOTSUGU

フリーランスライター/2023-2024日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員

愛車
日産サクラ
趣味
乗馬、読書
好きな有名人
池波正太郎、山本周五郎、柳家小三治

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