【試乗】ついに「売れる」EVが誕生! 三菱eKクロスEVの「上質な走り」は衝撃のレベルだった (1/2ページ)

この記事をまとめると

■軽自動車の電気自動車である三菱eKクロスEVはいま売れ行きが絶好調

■中身は日産サクラと同じはずだが走ると上質さで勝る印象

■ガソリンスタンドが減少した過疎地域では有用なクルマ

EVでも室内の広さはガソリン同等!

 三菱が日産と共同で開発した軽規格の新型EVが「eKクロスEV」だ。日産サクラと兄弟関係にあたるクルマなのだが、すでに5000台近い好調な受注を示しているという。サクラは1万5000台の受注済みといわれ、合わせると2万台以上の受注となり、生産ラインとなる三菱自の水島工場は賑わっていることだろう。そんなeKクロスEVに試乗する機会を得た。

 eKクロスEVは、トールボディでガソリンエンジンのノンターボとターボ付き車をラインアップして人気があるeKクロスをベースにEV化したもの。ダイナミックシールドと呼ばれる三菱独自の顔は継承されており、eKクロスEVとしてのアイデンティティが保たれている。

 一方で、EVとなったことでラジエターグリルは滑らかで煌めやかな華飾となり、日産サクラとは異なる存在感を演出している。外観デザインはeKクロスそのものだが、カラーリングやオーナメントバッジ、充電口の蓋など細かな部分でガソリンモデルとは違いがあるこが確認できる。兄弟車の日産サクラとはフロントフェンダー周辺やリヤのクォーターパネルまわりなどボディ外装も含めた多くの部分でデザインの差別化が行われていて、一般目線的には同じクルマとは思えないような出で立ちである。

 日産サクラはダッシュボードのデザインを一新してアリアなど上級モデルに通ずる高級感と落ち着きのある雰囲気であったのに対し、eKクロスEVは既存のガソリンモデルのダッシュボードデザインを継承している。ただし、素材の見直しを行いダッシュボード表面をソフトパッドで覆いステッチを縫い込むなどしてより一層高級感のある仕上がりとしている。また、センターモニターは9インチ、メーターパネルは7インチの液晶であり、これは日産サクラと同様だが、シートの表面にダイヤモンドステッチを網み入れるなど、インテリアを見る限りにおいてはサクラと兄弟車とは思えないほど異なった雰囲気に仕上げられている。

 室内に乗り込むと、その広さに驚かされる。寸法的にはeKクロスガソリンモデルと同じだが、さまざまなスイッチやメーターパネル、またその表示などがより一層アップデートされており、特別感のある装いとなっている。三菱eKクロスEVはGとPの2グレードが設定されていて、プレミアムなPグレードには標準で前席左右にシートヒーターが備わり、ステアリングヒーターも装備されている。Gグレードではオプションで装備されることになるが、寒冷地仕様として用意される。こうして寒冷地域への適合性を高めているのも特徴だ。日産サクラのシートヒーターは運転席にしか装着できないので、そういったところで販売戦略的な特異性が現れているのも面白い。

 スタートスイッチを押すとシステムが起動し、メーターパネルに起動のグラフィックが現れる。その表示の仕方はサクラと異なり三菱独自のものとなっている。また、ステアリングはステッチが縫い込まれた革巻き3本スポークが採用され、サクラの2本スポークとは異なっている部分である。

 ステアリング左右スポークには右側にマイパイロットのスイッチが備わり、左側にはメーターパネル表示メニューを変更するスイッチが備わっている。シフトレバーはダッシュボードのセンター部に設置され、EVらしくガソリン車とは異なった操作性でデザイン的にも優れたものを採用している。Dレンジを選択すれば走り出すことができる。

 パワートレインやシャシーまわりはすべてサクラと共通で、最高出力47kWのモーターは最大トルク195Nmを発揮し、20kwhのリチウムイオンバッテリーを搭載することも同じである。また、このリチウムイオンバッテリーはエアコンの冷媒で冷却され、充放電性能を高めて安定化させているのもサクラと同じだ。

 サスペンションはフロントストラット、リヤは3リンクサスペンションでeKクロス4輪駆動力に採用されていたものだ。ガソリンエンジン車のFF仕様はリヤサスペンションがトーションビーム方式だが、4輪駆動車用に3リンクが設定されていた。それが今回、バッテリー容量を大きくするために3リンクベースとすることで可能になったという。


中谷明彦 NAKAYA AKIHIKO

レーシングドライバー/2023-2024日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員

中谷明彦
愛車
マツダCX-5 AWD
趣味
海外巡り
好きな有名人
クリント・イーストウッド、ニキ・ラウダ

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