一般道で194km/hの暴走も「過失運転致死罪」ってあり得ない! 超危険行為なのに「危険運転致死罪」が適用されない謎 (1/2ページ)

この記事をまとめると

■危険運転致死罪は危険運転の厳罰を求める声に応えた立法

■しかし、危険運転致死罪のように思えても過失運転致死罪となるケースが多発

■そこでこの記事では、危険運転致死罪の定義を解説する

194km/hで走って事故を起こしても「過失運転致死罪」

 2021年2月9日午後11時頃、大分県大分市里の片側3車線の一般道で、BMW2シリーズクーペに乗った当時19歳の男が「何キロまでスピードが出るのか試してみたい」と考え、194km/hの猛スピードで交差点に直進。対向車線から右折しようとした乗用車に衝突し、相手が死亡する事故が発生した。

 この事故、当初は「危険運転致死罪」として家庭裁判所に送致されたが、紆余曲折あって大分地方検察庁は、「過失運転致死罪」として起訴!

「過失運転致死罪」の最高懲役は7年以下なのに対し、「危険運転致死罪」の最高懲役は20年。大きな差がある。

「危険運転致死傷罪」は、2001年の刑法の一部改正で、従来の「業務上過失致死傷罪」では、罰則が軽すぎるという意見が被害者・遺族などから寄せられ、厳罰化を求める声や国民の関心の高まりによって新設された罰則だ。

 上記の事故では、まさに「危険運転致死罪」に相当するというのが市民の感覚だが、なぜ大分地検は、「危険運転致死傷罪」ではなく「過失運転致死罪」で起訴したのか。

「危険運転致死傷罪」が適用されるのは、

1)アルコール又は薬物の影響により正常な運転が困難な状態で自動車を走行させる行為

2)その進行を制御することが困難な高速度で自動車を走行させる行為

3)その進行を制御する技能を有しないで自動車を走行させる行為

4)人又は車の通行を妨害する目的で、走行中の自動車の直前に進入し、その他通行中の人又は車に著しく接近し、かつ、重大な交通の危険を生じさせる速度で自動車を運転する行為

5)赤色信号又はこれに相当する信号を殊更に無視し、かつ、重大な交通の危険を生じさせる速度で自動車を運転する行為

6)通行禁止道路(道路標識等により車両の通行が禁止されている道路又はその部分)を進行し、かつ、重大な交通の危険を生じさせる速度で自動車を運転する行為

 となっている。


藤田竜太 FUJITA RYUTA

モータリングライター

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