走りの性能が向上するとは限らない! いま多くのクルマがプラットフォームを刷新する理由

この記事をまとめると

■プラットフォームはクルマの土台ともいえる基礎部分

■フルモデルチェンジの際、プラットフォームを刷新する車種が増えた

■プラットフォームを変える理由について解説する

プラットフォームにはクルマが抱える課題が集約されている

 最近はフルモデルチェンジを行ってプラットフォームを刷新させる車種が増えた。プラットフォームとは「車台」ともいわれ、クルマの土台に相当する基礎部分だ。今はモノコック構造だが、ボディ、エンジン、サスペンションなどは、プラットフォームに支えられていると考えて良い。

 2022年にフルモデルチェンジを行ったり新規投入されたトヨタ・ノア&ヴォクシー、トヨタ・シエンタ、日産エクストレイル、マツダCX-60などは、いずれもプラットフォームから刷新された。とくにCX-60のプラットフォームは、後輪駆動がベースの新しいタイプで、同車が初採用になる。このプラットフォームは、これから次期マツダ6など、マツダのさまざまな上級車種に採用される。

 プラットフォームを刷新させる背景には、複数の事情がある。もっともわかりやすいのは、ボディ剛性や衝突安全性能の向上、軽量化などだ。プラットフォームもエンジンなどと同じように進化しており、これを刷新させることで、走行安定性、乗り心地、各種の安全性を向上させることが可能になる。

 衝突被害軽減ブレーキなどの安全装備も、プラットフォームを刷新させないと、新しいメカニズムを導入できないことがある。現行型のノア&ヴォクシーは、そこも視野に入れて、プラットフォームを刷新した。開発者は「ノア&ヴォクシーは、現行型になって先進的な安全装備や運転支援機能を積極的に採用した。それは新しいタイプのプラットフォームを採用したから可能になった」と述べている。

 このほかプラットフォームを造り替えて新しいボディ構造を採用することにより、十分な剛性を確保しながら、軽量化できることもある。燃費性能から走行安定性まで、クルマのさまざまな性能にメリットをもたらす。

 しかしその一方で、プラットフォームを刷新した目的に、コストの低減が含まれることもある。この場合、軽量化は達成されるが、走行性能や乗り心地が向上するとは限らない。つまりプラットフォームには、良し悪しの両方を含めて、その車種が抱えるさまざまな課題が集約されているわけだ。まさにクルマの土台となっている。


渡辺陽一郎 WATANABE YOICHIRO

カーライフ・ジャーナリスト/2023-2024日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員

愛車
フォルクスワーゲン・ポロ(2010年式)
趣味
13歳まで住んでいた関内駅近くの4階建てアパートでロケが行われた映画を集めること(夜霧よ今夜も有難う、霧笛が俺を呼んでいるなど)
好きな有名人
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