いまどきの高性能スポーツ車は4WDだらけ! それでもホンダの「タイプR」がFFを貫くワケ (1/2ページ)

この記事をまとめると

ホンダがFFにこだわりを持っている理由を解説

■シンプル・イズ・ベストの思想に忠実な車両作りにFF駆動は最適だった

■4WDやFRとなると重量増加やプラットフォームを作り直す必要があった

ハイパフォーマンスでありながらいまだにFF駆動である理由

 走りに特化したモデルは、走りや装備類に性能の凝縮感が現れ、これがスポーツ派ユーザーの心を捉えて魅了することになる。高性能感に浸れるスポーツモデルは、それだけで商品価値を持ち、各メーカーとも高性能モデルをリリースするわけだが、それらのなかでもひと際印象的な存在が、ホンダ一連の「タイプR」だろう。ベース仕様、ゴージャス仕様、スポーツ仕様と車種ごとにいろいろなグレードが用意されるが、その末席に加えられた「タイプR」を目にすると、他とは違う特別な「何か」を強烈に感じてしまう。

 走りに特化した「タイプR」が、初めてホンダ車に加えられたのは、1992年のNSX-R(のちにタイプR)だった。非常に高性能だが、限界付近のハンドリングにあいまいさを残す標準仕様車に対し、シャシー性能を引き上げサスペンションを締め上げたタイプRは、逆にNSXが持つ本来の性能を引き出しやすいクルマとして走り派の共感を集めていた。

 そして、第2弾のインテグラ タイプR(DC2型、1995年)、第3弾のシビック・タイプR(EK9型、1997年)と続き、現在もシビック(FL5型)でその存在感を強烈に放っている。

 さて、タイプRに共通する車両コンセプトだが、純粋に動力性能、運動性能の良化を意図したグレードで、言葉を換えれば、余剰なものを廃したシンプル・イズ・ベストの思想に忠実な車両作りと表現できるモデルだ。

 二輪車メーカーだったホンダが、四輪車の市場に足を踏み入れるきっかけとなったのはライトウェイト・スポーツのS360/S500/S600/S800のシリーズだった。構成メカニズムやエンジン性能は、さすがホンダと思わせる群を抜く水準のものだったが、あくまでニッチな市場が対象だった。ホンダの本格的な四輪市場参入となったは、小型セダン/クーペのホンダ1300だった。強制空冷(DDAC)の高出力エンジン、日本ではまだ珍しいFF方式を採用する特徴的なモデルだった。


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