雪道初心者ドライバーがやってはいけない行為とは? レーシングドライバーが心得と走り方を伝える! (1/2ページ)

この記事をまとめると

■ビギナー向けに雪道運転のイロハを解説

■まずは雪道用タイヤに履き替えておくことが重要

■その上で路面状況に合わせた運転をすべきだ

ハンドル操作はゆっくりと丁寧に

 毎年冬季になると気になるのは降雪だ。雪国ドライバーなら準備も含めて手慣れた作業、運転も、温暖な地域のドライバーにとって降雪時のドライブは大きな課題となる。とくにビギナードライバーにとっては、どう対処すべきかわからないという人も多いだろう。教習所では「急ブレーキ、急ハンドル」など「急」の付く運転操作は厳禁だと教わったはずだ。

 しかし、雪道の運転はそれだけでは無事に乗り切ることは不可能。そこで今回はビギナー向けに雪道運転のイロハをお伝えたい。

 11月も半ばを過ぎると、北国中心に降雪のニュースが聞こえるようになる。北海道など北国のドライバーは11月初旬からタイヤをスタッドレスに換装するなど準備を始めるのだ。ところが、都会のドライバーは降雪予報が出されないと準備しない。「明日は雪が降る」とニュースで流れると皆が一斉にタイヤショップに駆け込み大混乱になるのが例年の風景だ。そこで出遅れるとスタッドレスタイヤの在庫も尽きて希望のサイズや商品を選べなくなるケースも多い。

 できれば10月中に希望の商品、サイズを決めて交換日まで含めて予約しておくことが望ましい。遅くても11月中に交換を済ませておけば、予想外に早い降雪にも対応できる。

 このように、雪道走行のイロハのイは雪道用タイヤに履き替えて準備しておくことがもっとも重要となる。ベテランドライバーならたとえ4WD車であっても夏用タイヤのままで雪道を走ることはしない。

 ではスタッドレスタイヤ装着車で初めての雪道に走りだす場合の注意点はどうだろう。

 雪道といっても、その態様は一様ではない。降り積もった直後の表面が柔らかく粉のように積もった雪もあれば、何台ものクルマが走行し硬く踏み固められた圧雪路、市街地では雨まじりでシャーベット状の路面も多い。こうした路面それぞれの特性を正しく見極め、その特徴を理解して運転操作をしなければならないのだ。

 スタッドレスタイヤはトレッドパターンの深い溝で粉雪など路面に積もった雪を踏み固め、ブロック化した雪の剪断力を利用して駆動力を伝える。雪道用の長靴の底面が凸凹しているのも同様で雪を踏み固めて滑りにくくしている。だからといって急に駆け出せば、人でも滑ってしまう経験は誰もがあるだろう。クルマも同様で、スタッドレスタイヤを装着しているからといって急発進しようとすればトレッドパターンで踏み固められた雪を剪断してしまい、タイヤが空転。それにより雪路面を磨いてしまうことでさらに滑り易い状況を自ら作ってしまうことになる。

 雪道の発進では「急」がつくどころか、極めて丁寧に、慎重に発進させなければならないのだ。

 同じことは減速時にも、またカーブを曲がる際の旋回時にもいえる。急に強くブレーキをかけてしまうと、また急にハンドルを切り込んでしまうと、ブロックパターンの効果を発揮できなくなってしまう。

 最近のクルマはトラクションコントロール機能やABS(アンチロックブレーキシステム)が装着され、こうしたタイヤの空転や滑りを制御してくれるが、ハンドル操作についてはドライバーだけが操舵するので、ゆっくり、丁寧に転舵する必要がある。


中谷明彦 NAKAYA AKIHIKO

レーシングドライバー/2023-2024日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員

中谷明彦
愛車
マツダCX-5 AWD
趣味
海外巡り
好きな有名人
クリント・イーストウッド、ニキ・ラウダ

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