気がつけば軽も商用車もみんなDOHC! 「SOHCエンジン」を最近見かけないワケ (1/2ページ)

この記事をまとめると

■かつてはほとんどのエンジンがSOHC方式を採用していたが最近は見かけなくなった

■SOHC方式にとって変わったDOHC方式は高回転/高出力を得やすいとして普及した

■もちろん現在でも工夫を凝らしたSOHC方式が存在し実用化もされている

エンジンの性能を追求するうえで進化を繰り返したバルブ方式

 エンジンの動弁メカニズムとして、一時は大半を占めていたSOHC(シングル・オーバー・ヘッド・カムシャフト)方式を、最近ではほとんど目にしなくなった。代わって主流となったのがDOHC方式だ。なぜなのか?

 動弁機構の進化は、自動車エンジンの歴史をたどってみるとよくわかる。自動車が普及し始めた頃のバルブ開閉機構は、シリンダー側方に吸排気バルブを配置するSV(サイド・バルブ)方式が一般的だった。メインテナンス性が良好、騒音が低いといった理由で広く採用されていたが、エンジンの性能向上を果たしていく段階で、シリンダー上方に吸排気バルブを配置したほうが有利だということになり、シリンダー上部に吸排気バルブを配置するOHV(オーバー・ヘッド・バルブ)方式がとって代わるようになった。

 SV方式に較べ、燃焼室形状のデザインの自由度が高いことから燃焼効率の向上を図ることができ、SV方式からバルブ開閉機構の主役の座を引き継ぐかたちとなっていた。

 さらに、自動車に高速性能が求められる時代が到来すると、OHV方式より高出力型、高効率型のエンジンが求められるようになった。というのは、エンジンの高出力化を図るうえで有効な方法は、エンジン回転数を引き上げることが端的な手法と考えられてきたからだ。しかし、エンジン回転数を上げていくうえでネックとなるのは、吸排気バルブの正常な作動と動弁系の動きだった。

 OHV方式では、シリンダー下方に位置するカムシャフトからプッシュロッド→ロッカーアーム→吸排気バルブと長い駆動伝達システムが必要となっていたが、カムシャフトをシリンダー上部に配置することでプッシュロッドを廃し、カム山から直接短いロッカーアームを駆動して吸排気バルブを開閉するSOHC方式のほうが、高速回転対策として有利になることは明らかだった。動弁系の慣性質量が減ることにより、より正確な高速回転運動が可能になるからだ。

 なお、SOHCには、ロッカーアームの形状、配置を工夫することで、吸排気の流れをスムースに行えるクロスフローヘッド(半球型燃焼質)の設計も可能で、吸排気バルブをカムシャフトと平行に一直線上に配置する標準的なターンフローヘッド(ウエッジ型あるいはバスタブ型燃焼室など)より高効率化(高性能化)が可能である。


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