GT-Rにロードスター! 超絶人気のスポーツカー4台の歴代モデルでプロが選ぶベストバイは何代目? (1/2ページ)

この記事をまとめると

■名車と言われる人気スポーツモデルのベストバイを山本晋也氏が主観で選ぶ

■かつてのスポーツカーはさまざまなバリエーションに富んでいたのが特徴的だった

■50年以上の歴史があるスポーツモデルがまだ販売されている

伝説的モデルのなかからベストバイを選んでみた

 今回は、フリーランスの自動車ライターとして活動をはじめて20年余り、ネット時代に自動車コラムニストと名乗っている筆者が抱く、国産名車への思いをお伝えしたい。

 いきなり個人的な話をしてしまうが、筆者が生まれたのは1969年1月、初代スカイラインGT-R(PGC10)のデビューする4週間ほど前のことだった。子どもの頃は、そんな認識はまったくなかったが、大人になってからは同世代の名車として、何かにつけて意識する存在となっていった。

 実体験でいえば、第二世代スカイラインGT-Rに印象深いモデルが多い。運転免許を取って若葉マークがとれた頃に登場したR32スカイラインGT-Rは、グループAレースに勝つための2.6リッターツインターボエンジンやトルクスプリット4WDといったパッケージが魅力的であったし、大いに憧れを抱いたものだ。

 その後、自動車関連メディアで働くようになって、R32だけでなくR33、R34と歴代モデルに触れる機会を得た。純正状態の倍以上にパワーアップされたチューニングカーを運転したこともあった。

 そうした経験を踏まえて、歴代のスカイラインGT-Rでのベストモデルだと思うのはR33をベースにNISMOが作り上げたコンプリートカー「400R」である。2.8リッターに排気量アップしたエンジンにN1タービンを組み合わせることで400馬力を発生しているのが、その特徴であり名前の由来。

 前述したように600馬力級のチューンドエンジンを運転したこともあったが、そうした無理矢理にパワーを引き出したものとは異なる、余裕の400馬力という感覚は新鮮。第二世代スカイラインGT-Rに共通の心臓部であるRB26DETTが、こうしたパワーフィールを実現するポテンシャルも持っていることを知ることができたのは、自動車コラムニストとして代えがたい経験となった。

 というわけで、初代から数えて5代を重ねたスカイラインGT-Rを振り返ると、個人的なベストチョイスはR33ベースのNISMO 400Rとなる。

 自動車コラムニストという肩書で文筆業を営むきっかけとしては「自動車が好き」という思いがあるのは言うまでもない。その原点といえるのが1970年代のスーパーカーブームだ。当時、小学生だった筆者にとって、フェラーリ、ランボルギーニ、ポルシェといったブランドはフィクションの世界だった。宇宙戦艦ヤマトやガンダムと同じカテゴリーとして認識する乗り物だった。

 そうしたなかで、いつかは手に入るかもしれないと感じたスーパーカー(スポーツカー)がマツダRX-7だ。初代のSA22C型は、スーパーカーの記号であるリトラクタブルライトを採用、流線型のスタイリングも直感的にスポーツを感じさせてくれるものだった。

 四輪に乗るようになったころに人気だったのが2代目のFC3S型。日本仕様は、全グレードがロータリーターボエンジンを搭載、後期型では200馬力を超えたのもインパクトがあった。

 個人的に歴代RX-7で最高だと思うのは、最後のモデルFD3S型だ。

 このモデルについては、仕事の関係で開発主査をつとめた小早川隆治さんのお話をうかがう機会もあった。その際に、開発キーワードとして掲げた『志凛艶昂』という言葉を聞いたときから、FD3Sの熱烈なファンになってしまった。ロータリーという唯一無二のパワーソースを採用した軽量FRスポーツカーという成り立ちだけでなく、日本のスポーツカーとして生み出されたことが、この四字から感じられたからだ。

 この四字熟語は、FD3S開発の初期段階でマツダの開発陣によって生み出された造語だが、FD3Sの生まれた時代(バブル期)に、日本の自動車メーカーが世界に誇るスポーツカーを生み出そうとした高い志が感じられる。この四字熟語を語り継いでいくためにも、FD3S・RX-7は忘れてはいけないスポーツカーだと思い続けている。


山本晋也 SHINYA YAMAMOTO

自動車コラムニスト

愛車
スズキ・エブリイバン(DA17V・4型)/ホンダCBR1000RR-R FIREBLADE SP(SC82)
趣味
モトブログを作ること
好きな有名人
菅麻貴子(作詞家)

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