「テクノロジー・カー・オブ・ザ・イヤー」受賞車に注目! 日本の自動車の将来を占う重要な指標だった

この記事をまとめると

■日本カー・オブ・ザ・イヤーの特別賞、テクノロジー・カー・オブ・ザ・イヤーを受賞したクルマを振り返る

■選ばれたクルマの多くは電動化と自動運転へ向けた取り組みが評価されている

■この結果はクルマの行く末を示しているといえる

「電動化」と「自動運転」の技術が評価されている

 日本カー・オブ・ザ・イヤーの特別賞は、ときに見直しが行われている。そのなかで、優れた技術に関する表彰に、10年前は、イノベーション部門賞の名目で、三菱自動車工業のアウトランダーPHEV(プラグインハイブリッド車)が選出された。翌年は、電気自動車(EV)のBMW i3だ。そして、米国のテスラ・モデルS、日産自動車のセレナ、トヨタ自動車のプリウスPHV、本田技研工業のクラリティPHEV、日産のスカイラインと続き、このあと、名称がテクノロジー・カー・オブ・ザ・イヤーへ変更となったうえで、アウディe-tronスポーツバック、三菱アウトアンダー、そして昨年の日産エクストレイルが選出されてきた。

 振り返れば、アウトランダーPHEV以降の電動化技術、そして、セレナは意外と思うかもしれないが、運転支援機能のプロパイロットが量販車種にも採用がはじまったことが評価され、以来、EVやPHEVという電動化の進展や波及、あるいはスカイラインで示されたハンドルから手を離せるハンズオフの実現など、自動運転へ向けた取り組みが表彰されている。

 その年を代表する一台という意味でのカー・オブ・ザ・イヤーは、60人の選考委員それぞれの評価基準によって多様な受賞車になり、必ずしも電動化や自動運転へ向けた性能や装備が評価されているわけではない。しかし、先端技術を指標とするイノベーションとかテクノロジー・カー・オブ・ザ・イヤーという部門ごとの賞では、評価基準がある程度限定されることにより、上記のような結果になったといえる。そしてこれが、クルマの行く末を示しているといえるだろう。

 つまり、一部の車種を除いて、クルマの未来はEVと自動運転に集約されようとしているということだ。もちろん、一方で、エンジン車や運転者が主体の手動運転を否定しているわけではない。しかし、交通環境や社会環境、地球環境といった現実的な実状と、未来への懸念を考慮したうえで、将来の交通の姿を摸索すれば、EVと自動運転が個人の自由な移動を支えるクルマの姿になっていくことを示唆している。

 あと10年もすれば、その様子がより具体的かつ現実的な姿となって、暮らしを支えていくのではないか。


御堀直嗣 MIHORI NAOTSUGU

フリーランスライター/2023-2024日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員

愛車
日産サクラ
趣味
乗馬、読書
好きな有名人
池波正太郎、山本周五郎、柳家小三治

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