昔に比べて基準は下がった! クルマは何台売れたら「成功」と言えるのか? (1/2ページ)

この記事をまとめると

■クルマは何台売れたら成功と言えるのだろうか?

■答えはボディタイプや車種によって異なる

■その理由を具体的な車種を挙げて解説する

あらかじめ想定している生産/販売台数の達成率で決まる

 クルマは高額商品で、開発や生産にも多額のコストを要する。売れ行きが想定された台数よりも少ないと、経営にも悪影響を与えるから、達成せねばならない。

 時々、設計が古くなって売れ行きも下がったのに、長期間にわたり細々と生産や販売を続けている車種がある。この場合、収支を合わせるために、一定の台数に達するまで生産を続けることもある。

 つまりメーカーや販売会社にとって「何台販売できたら成功か」は、その車種があらかじめ想定している生産/販売台数の達成率で決まる。

 たとえば軽自動車は、もともと薄利多売の商品だ。1カ月に想定される平均生産/販売台数が7000台、1年間なら8万4000台、6年間にわたって生産すれば約50万台という具合に想定して、開発や生産コストを決める。

 ミニバンは、軽自動車と同じく国内販売が中心だが、価格が高く1台当たりの粗利も多い。そうなると軽自動車に比べて、生産/販売台数が少なくても採算は取れる。

 さらに海外を中心に売られる車種は、日本国内で大量に販売する必要はない。そのためにレガシィアウトバックなどは、フルモデルチェンジ直後の2022年でも、1カ月の平均登録台数が約800台だった。それでも国内販売が成り立つわけだ。

 レクサスLSの1カ月平均約140台のように、売れ行きがさらに少ない車種もある。

 その一方で、アコードは、2022年の1カ月平均登録台数が約170台で、レクサスLSを上まわったが、2023年には国内販売を終了した。販売の低調な車種は、メーカーや販売会社に対する貢献度も低いため、アコードのように不意に終了することもある。売れ行きが低調だと、つねに危うい状態に置かれるわけだ。

 以上のように販売の成功と失敗には、車両価格や1台当たりの粗利、日本と海外の販売比率、メーカーの戦略など、さまざまな事柄が影響を与える。


渡辺陽一郎 WATANABE YOICHIRO

カーライフ・ジャーナリスト/2023-2024日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員

愛車
フォルクスワーゲン・ポロ(2010年式)
趣味
13歳まで住んでいた関内駅近くの4階建てアパートでロケが行われた映画を集めること(夜霧よ今夜も有難う、霧笛が俺を呼んでいるなど)
好きな有名人
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