いまじゃ庶民が買えるミッドシップスポーツなんて夢のまた夢! ジャジャ馬だけど「トヨタMR2」はやっぱり偉大なクルマ (1/2ページ)

この記事をまとめると

■トヨタ「MR2」は日本車史上初の市販ミッドシップ車だった

■初代モデルはAW11(エーダブ)、2代目はSW20(エスダブ)と呼ばれている

■両車ともじゃじゃ馬マシンとして多くのファンに愛されていた

スーパーカーのパッケージを庶民価格でリリースした功労車

 エンジンを車体中央に搭載するミッドシップレイアウトは、フォーミュラカーなどの純レーシングマシンが採用しているように、スポーツカーの理想とされている。

 とはいえ、エンジンを車体中央付近に積むということは、多くの場合においてリヤシートを設けるスペースがなくなることを意味する。そのため、ミッドシップカーは2シーターとなることがほとんどだ。贅沢なスポーツカーだけに許されたレイアウトともいえる。

 そんなミッドシップのスポーツカーだが、かつてトヨタが、庶民でも買えるような価格でリリースしてくれたことがあるのをご存じだろうか。そのクルマこそ、「MR2」である。

 日本では2世代・15年に渡って売られていたMR2とは、どんなクルマだったのだろうか。

 初代MR2が誕生したのは1984年6月のこと。車名の由来は「Midship Runabout 2 Seater」で、ミッドシップ方式の2人乗り小型車ということを名前から示していた。

 その初代MR2の基本レイアウトは、エンジン横置きミッドシップと分類されるものだ。乱暴にいうと、FFモデルのパワートレイン(エンジン&トランスミッション)をそのままボディ中央に載せるという手法により生まれたミッドシップスポーツカーといえる。

 そのエンジンは、1.5リッター「3A-LU」と1.6リッター「4A-GELU」の2種類。後者は、ハチロクの愛称で知られるAE86型カローラレビン/スプリンタートレノのツインカムエンジンと基本的には共通で、最高出力は130馬力だった。

 ちなみに、AE86は縦置きレイアウトのFRゆえに、ハチロクのエンジンをそのままMR2に搭載したわけではなく、むしろ4A-Gを横置きにしたFFホットハッチ「カローラFX」のパワートレインを利用したミッドシップカーと捉えるべきだろう。

 初代MR2の車両型式は1.5リッターエンジン車が「AW10」、1.6リッターエンジン車が「AW11」となる。そのため、このモデル全般について、AWを縮めて「エーダブ」と称することが多い。

 1986年のマイナーチェンジでは145馬力を発生するスーパーチャージャー付4A-Gエンジン搭載車をバリエーションとして追加。これが最強のエーダブとなっている。

 筆者は、前期型のAW11に乗っていたことがある。同時代のハチロクと比べてもエンジン音がダイレクトにキャビンに入ってくるのはスポーツテイストを強調するチャームポイントだと感じたものだ。とくにエアクリーナーをオープンタイプに換えてやると、4A-G特有の”クォーン”といった吸気音が大きくなり、気持ちよくドライブできた記憶がある。

■AW11ボディサイズ
全長:3925mm
全幅:1665mm
全高:1250mm
車両重量:950kg


山本晋也 SHINYA YAMAMOTO

自動車コラムニスト

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スズキ・エブリイバン(DA17V・4型)/ホンダCBR1000RR-R FIREBLADE SP(SC82)
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