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【マリオ高野が実体験で語る】苦しい自動車ローンが男を磨く!

【マリオ高野が実体験で語る】苦しい自動車ローンが男を磨く!

ローン地獄は数々の幸せをもたらしてくれた

 クルマが若者にとってなくてはならない必須アイテムだった昭和の時代、ワカモノたちは欲しいクルマを手に入れるためならローン地獄に陥ることを厭わず、クルマ以外のすべてを犠牲にしてでもローンを組んで欲しいクルマを買ったものでした。

 住まいはボロボロのアパート、食事は毎日インスタントラーメンのみで我慢する(いわゆるラーメンライス状態)など、衣食住を最低限度、あるいはそれ以下に切り詰めてまでクルマのローン代を捻出する。今では信じがたい話ですが、これはごく一部の酔狂なクルママニアに限られた話ではなく、昭和の末期まではわりと普通にそういうワカモノが存在したのです。スカイラインGT-Rやシルビア、スープラなどの国産スポーツカーが熱かった平成初頭までは、まだよく聞かれる話でした。

 そんな昭和のワカモノより少し新世代の団塊ジュニアにあたる不肖ワタクシも、弱冠ハタチの頃(1993年)は、前述したラーメンライス状態ほどではないにせよ、クルマ関連のローンで火の車。家賃などの生活費以外の収入は、ほぼすべてクルマ本体とマフラーやホイール代のローンに消えてゆく日々を送りました。

 まず、ハタチの夏に人生初の愛車ヴィヴィオGX-Rを頭金ゼロの7年フルローンで購入。今思えば、車両本体112万円のクルマを7年ローンで買うのもどうかと思いますが、たしか月々の支払いが1万5000円、ボーナス時6万円ぐらいだったので、頭金や貯金がゼロでもこれで新車が手に入るのなら全然ラクショーだと思い迷わず組みました。

 当時はヴィヴィオに一生乗るぐらいの覚悟だったものの、ヴィヴィオを購入してからハマったWRCで活躍するインプレッサWRX(初代GC8型)が欲しくて欲しくてたまらなくなり、ヴィヴィオ購入からわずか半年でインプレッサWRXを購入。

 ヴィヴィオの残債を返したわけではなく、ヴィヴィオのローンの大半が残ったまま(6年半分)新たにインプレッサのローンを組むという安直な方法を選んでしまいます。もっと賢い支払い方法があったはずですが、当時はまさになりふり構わずという感じで、「WRXが手に走ればそれでヨシ!」と、目先の欲望を満たすことだけが脳内で優先されたのです。

 たしかヴィヴィオは75万円ぐらいで下取ってもらえたものの、それを差し引いても200万円ほどのローンが新たに上乗せされました。インプレッサ分は5年ローンで、支払いは月々2万円/ボーナス時13万円ぐらいだったので、ヴィヴィオ分と合わせると、月々3.5万円、ボーナス時20万円弱に。そこからさらに重ねたマフラーやホイールなどのパーツ分のローンについてはよく覚えていません。

 正直、苦労自慢をするほどの高額でもなかったので、このローンを組んだときに勤めていた会社(ボーナスが出る会社)を辞めていなければそれほど苦労しなかったかも知れませんが、その後、たび重なる失職(すべて自分のせい)やワーキングプア状態に陥ったことで何度も破綻の危機を迎えました。

 だからといってローンを組んだことを後悔したことはただの1度もありません。収入激減などにより支払いに窮することは多々あったものの、それでもクルマがもたらしてくれる幸せはそれを補って余りあるものだったので、クルマのおかげで精神的には非常に満ち足りた日々を送っていたのです。

 ラーメン屋の駐車場などで見知らぬ人から「おお、WRXやんけ! すげぇ速いらしいな!」などと感嘆されたときの快感は筆舌に尽くしがたいものがありました。スバルのWRC黄金期も重なり、「俺のクルマは世界一」という誇りを常に噛み締めながら運転に没頭する喜びもまた然りです。もう一度生まれ変わったとしても、また同じようなローン地獄に陥る道を喜んで選ぶでしょう。

 といいながらも、ボーナス時の支払いと車検が重なったときなどは本当にどうにもならなくなり、「クルマを手放そうか」という選択が頭をよぎらなかったわけではありません。

 しかし、それでも「クルマを手放せば自分の人生はスカスカになってしまう」との思いもあり、肉体的にキツイ仕事(たとえば自動車工場の期間工など)で稼ぎを良くしようと前向きに考えたなど、何とかしてクルマを維持するための努力に励むモチベーションが生まれたのでありました。ローンは、ダメな自分を磨いてくれたともいえるのです。

 ワタクシがワカモノだった頃はバブル崩壊後だったとはいえ、今よりローン審査も緩かったなど、ギリギリ恵まれた時代だったともいえますが、クルマのローン地獄は数々の幸せをもたらしてくれたのでありました。

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