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レーシングドライバーが直伝! 本当に正しいドライビングポジションとは (2/2ページ)

レーシングドライバーが直伝! 本当に正しいドライビングポジションとは

まずは正しい着座姿勢から学ぶ

 クルマを運転する時にドライビングポジションが重要なのは言うまでもないことだ。僕が主宰しているドライビングアカデミーの「中谷塾」でも正しいドライビングポジションの重要性について常に説いている。

 一般的にはクルマに乗るとまずシート位置を調整するだろう。足がペダルに届くかどうか。ハンドルに手が届くかどうかでおおよその位置を決める。

 だがその前に注意すべきことがあるのだ。それはシートに正しく座れているかどうか、ということだ。

 現代はそうでもないが、畳の床で育った団塊世代やそれ以前では椅子に座る習慣があまりなかった。椅子に正しく座るとは、背筋を伸ばして背もたれに寄りかからず姿勢を正す、というような学校教育的な視点でしかなかった。しかし、Gのかかるクルマでシートの背もたれに身を預けなかったら5分ももたないだろう。

 運転操作に重要なシートへの正しい座り方とはどんな座り方なのか。

 それはまずシートの奥深くまで臀部を乗せ、お尻から大腿までなるべく多くの部分をシート座面に乗せることが基本だ。そして腰の裏とシートの背もたれの間に空間ができないようにピッタリとシートと身体を密着させる。

 その上で背筋を伸ばし、顎を引き両肩もシートバックに付くように背もたれの角度を調整する。こうした座り方をすることでシートと人間の接触面積が増えて面圧(単位面積当たりの圧力)が下がり長時間着座しても身体への負担が減るのだ。

 加えて接触面積が増えることで摩擦抵抗が増え、さまざまな方向にかかるG変化に対して身体のホールド性が高まる。このような正しい着座姿勢を取ってから前後スライドで位置調整をすることが理想的だ。

 よくシートと腰の間に空間を作り寝そべった姿勢でシートに座る人を見かける。一見楽そうな姿勢に見えるがシートと身体の密着点の圧力が上がり長時間の着座では尻が痛くなるばかりか脊椎の折れ点が腰痛などを引き起こす原因になり、またサポート性も損なってカーブなどで姿勢を乱し正しい運転操作ができない可能性もある。

 シートに正しく座れたら、前後スライドで足の位置を調整するが、その際にはアクセルペダルを一番奥まで踏み込み、それでも膝裏が十分に曲がる位置まで前進させる。

 3ペダルなら一番ストロークの大きなクラッチペダルを踏み込んで調整するが2ペダルの多い現代ではアクセルペダルで代用させる。もちろんエンジンは始動させてはいけない。

 ペダルを一番奥まで踏み込んでも膝裏が曲がる位置ならコーナーでGがかかり身体の姿勢が乱れても十分に足が届く。一番重要なのはブレーキペダルを必ず踏み込めることで、ハードな走行でブレーキがフェードしてペダルストロークが増えてもしっかり踏み込めなければならない。

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