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安全が犠牲にされる運用も散見! 大型商用車の「スタッドレス問題」が根深い

安全が犠牲にされる運用も散見! 大型商用車の「スタッドレス問題」が根深い

スタッドレスタイヤでも夏での使用を考えて作られたものもある

 ホワイトアウトによる大渋滞や衝突事故で触れられていたのが、先頭がトラックで、スタッドレスを履いていなかったのではないかということ。大型トラックやバスはかなりの重量になるため、一度止まってしまうと再スタートが困難になるということだ。今回は商用車のスタッドレス事情について紹介しよう。

 そもそも、乗用車とは技術はかなり異なるし、年間走行距離が多いのでアッという間に履きつぶしてしまうのが大前提だ。履きつぶしについては、昨今の収益悪化の状況によって、スタッドレスを装着せず、夏タイヤのままということもあったりする。重量が大きいので、接地圧も高くなるため、確かに乗用車よりは雪が降っても普通に走れるので、なおさらそうなってしまうという事情は実際にある。もちろん危険だし、ニュースのように他車に迷惑がかかれば被害は甚大だ。

 そこで今回注目したのが大型商用車の使用パターン。乗用車の場合は、夏タイヤと冬タイヤ(スタッドレス)を用意しておいて、シーズン前に履き替えるというのが一般的で、それぞれ3年から5年ぐらいは使うのが普通だ。大型商用車のなかでも観光バスではこの「乗用車パターン」が多い。

 そしてもうひとつのパターンが、冬が終わってもスタッドレスのままで走行し続けるスタッドレスタイヤの履きつぶし。乗用車でもそういう使い方をする人はいるが、ゴムが柔らかくてよじれたりして危険とされ、避けたい行為だ。しかし、大型用では一般的な行為で、夏に赤信号でトラックが隣に止まった際に見てみると、けっこうスタッドレスを履いていることに気づく。

 モノを運ぶ商用車がそれでいいのか、と思うがじつはそれに対応して作られているのが、大型車用のスタッドレスタイヤのなかにはある。たとえばヨコハマタイヤの場合、冬にスタッドレスとして使用したあと、春は摩耗想定50パーセントぐらいでオールシーズンタイヤとして梅雨のウエットにも対応。そして夏から秋は60パーセント90パーセントの摩耗で夏タイヤと同じように使えるようになっている。実際のトレッドもそれぞれに合わせて変わっていく。

 もちろんこのような使い方は厳密なタイヤ管理が必要で、履きっぱなしで複数年というのは危険。いずれにしても普通に使用していれば1年で使用限界に来てしまうのが大型商用車用スタッドレスの特徴といっていい。さらにサイズはかなり大きいので、費用も高く、管理を怠りがちなのもまた事実で、単純に危ないから交換しよう、というものではなく、運送業界全体の問題も関わってくる根深いもの。それが結局、事故などにつながるだけに、なんとか解消する方策があればいいのだが。

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