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オイルショックという逆境がクルマにもたらした進化と課題! 燃費への厳しい目が「優れた技術」を消した過去 (2/2ページ)

オイルショックという逆境がクルマにもたらした進化と課題! 燃費への厳しい目が「優れた技術」を消した過去

さまざまな影響を与えて自動車も省燃費などが課題に

 石油(オイル)ショックと呼ばれる原油価格の高騰は、1970年代に二度起きた。最初は、73年10月に第4次中東戦争が起こり、石油輸出機構(OPEC)のうちペルシャ湾岸の6か国が70%の値上げを実施した。さらにアラブ石油輸出機構(OAPEC)が原油の減産を行い、イスラエル支持国に対する禁輸も実施している。

 国内ではトイレットペーパーの買い占め騒動が起き、テレビは深夜放送を止め、ガソリンスタンドの日曜休業が行われた。主要自動車メーカーがレースから撤退している。

 二度目は、79年にイラン革命が起こり、イランの原油生産が中断し、OPECが原油価格を引き上げ、再び石油価格の高騰が生じたのである。すでに一度経験していたので、大きな騒動にはならなかったが、省エネルギーへの取り組みをより前進させる結果となった。そこに商機を得たのは日本だった。米国市場では、省エネルギーへの機運が高まり、日本車に対抗するため小型車の開発と生産に取り組んだが、いずれも失敗することになる。

 自動車業界では、70年初頭の排出ガス規制のほうが切実だった。米国のマスキー法案に適合するため、国内でまず実施される昭和48年(73年)度規制に排出浄化を適合させる必要に迫られていた。そこに登場するのが、ホンダのCVCC(複合渦流調整燃焼方式)だ。そして初代シビックにこのエンジンが搭載される。

 じつはほぼ同時に、マツダもロータリーエンジンの排出ガス浄化を実現しており、サーマルリアクターと呼ぶ後処理で対応していた。ロータリーエンジンは、繭型のハウジング内側を、オムスビ型のローターが回転し、ガソリンと空気の混合気を燃焼させるが、ピストンがシリンダー内を上下するレシプロエンジンと異なり、燃焼室がローターの回転とともにハウジング内を移動していくため、燃焼温度がレシプロエンジンに比べ低い。これによって窒素酸化物(NOx)の発生が少ない利点がある。

 一方、燃焼温度が低い分、炭化水素(HC)の排出は多くなる。HCとはいわば未燃焼ガソリンなので、これを後処理で燃やして酸化させれば無害化できる。これを、サーマルリアクター(熱反応)と呼んだ。

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