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仲良くケンカして生まれたトヨタとスバルのEV! bZ4Xとソルテラはどんなクルマで何が違うのか? (1/2ページ)

仲良くケンカして生まれたトヨタとスバルのEV! bZ4Xとソルテラはどんなクルマで何が違うのか?

86&BRZとは違う協業

 トヨタbZ4X/スバル・ソルテラは両社共に「グローバル販売を行なうBEV(電気自動車)」と言う意味では初のモデルだ。この2台はトヨタ/スバルの共同開発モデルとなるが、じつは第1弾となったGR86/BRZとタッグの組み方がちょっと異なる。

 GR86/スバルBRZは1チーム開発をPRしているが、実務で言うと商品企画/デザインはGR(トヨタ)、開発/生産はスバルとその役割は分かれていた。

 それに対してbZ4X/ソルテラはトヨタの「ZEVファクトリー」にトヨタとスバルのエンジニアが半々ずつ集められ、対等な立場で企画段階から一緒に実務行う。つまり、パッケージ、デザイン、エンジニアリング、装備に至るまで、両社で議論し納得しながら開発が進められている。つまり、理想のBEVを世に出すべく、真の“ワンチーム”で仕事が進められている。口の悪い人は「ソルテラはbZ4Xの顔を変えたお手軽モデル」と言うが、それは完全な間違いなのだ。

 この2台はどのようなモデルなのか? 紹介していきたいと思う。

 エクステリアは先進的すぎず、保守的すぎない絶妙なデザインだ。ホイール周りのクラッディングなどからクロスオーバーテイストを強調させるが、BEVならではの短い前後オーバーハングや4輪のスタンスの良さなどを活かしたパッケージなどは、セダンに変わる次世代スタンダードな雰囲気も。

 bZ4X/ソルテラはフロントマスクとリヤコンビランプのデザイン、ホイールのカラーコーディネイトが異なる。見比べるとbZ4Xはどちらかと言えばアーバン、ソルテラはどちらかと言えばアクティブな方向性なのがわかるはず。

 ちなみにボディ下部全周を覆うクラッディングは今回発表されているモデルはどちらも素材色となっているが、bZ4Xの上級グレードはボディ同色となるそうだ。

 それ以外は共通部分が多いが、bZ4Xは他のトヨタクロスオーバーシリーズとの共通性、ソルテラは2019年ジュネーブモーターショーに参考出品されたコンセプトカー「ヴィジヴ・パフォーマンスコンセプト」を彷彿とさせるなど、同じデザインながらも各々のブランドのアイデンティティがシッカリと表現できているのが面白い。

 インテリアは低めのインパネ、横長の大型ディスプレイを中心に集約された操作系、初代オーリスを思い出す一体化されたセンタークラスターとセンターコンソール、メーターバイザーレスでステアリング上方にレイアウトされたメーター、そしてダイヤル式のシフトセレクターなどを採用。どちらかと言うとトヨタっぽさが強いように感じるものの、両社の要望がシッカリと反映されているそうだ。

 ここでのbZ4X/ソルテラの違いは、パドルシフトの有無(ソルテラのみ装備)、インテリアカラー(bZ4Xはホワイト、ソルテラはタン)など細部が中心となる。ちなみにフロントシートはトヨタのほかのモデルでも採用される「スポーティシート」がベースだ。

 居住性はロングホイールベースとフラットなフロアを活かした物で、とくにリヤの居住性はDセグメントセダン並みの足もと/頭上スペースを誇る。しかし、床下にバッテリーを搭載しながら最低地上高210mmを確保にこだわったため(スバルが絶対に譲らなかった部分)フロアの高さは若干高め。リヤシートは若干体育座りになってしまっているが、許容範囲だろう。

 パワートレインはFFがシングルモーター(150kW)、AWDはツインモーター(フロント80kW/リヤ:80kW)で、バッテリー(リチウムイオン)の総電力は71.4kWhと発表された。

 航続距離は両社の計測方法の違いで数値に若干差が出ているが(bZ4X:FF 500km前後、AWD 460km前後/ソルテラ:FF 530km 前後、AWD 460km前後)実際は同じ。バッテリー総電力と航続距離の関係を見ると、電費の良さがわかっていただけると思う。

 これはBEVにしては軽量設計(FF:1920kg~、4WD:2005kg~)である事に加えて、空力性能の追及や消費電力を減らすデバイス(ヒートポンプ式エアコン、ステアリング&シートヒーター、前席乗員足もとの輻射(ふくしゃ)ヒーターの採用など、車両全体で積み重ねた結果だ。この辺りは長年ハイブリッドの開発で培ってきたトヨタの技術が活きている。

 加えて、1年間で走行距離1800kmに相当する発電量を生成するルーフソーラーパネルも設定される。充電スタンドがない駐車場でも充電できるのは嬉しい。

 さらに単純に「性能がいい」だけでなく、冬場の航続距離の確保や10年後に90%と言う電池容量維持率などをはじめとする“リアル”な実用性の追求や、バッテリーの安心・安全を担保する設計・多重監視システムの採用、衝突安全性能追及など、BEVの心配事に対する対策も徹底している。

 このあたりは非常に地味でなかなか表に出てこない部分だが、「多くの人に選んでもらう」、「普及してこそ」と言う意味では、非常に頼もしい性能である。つまり、トヨタ/スバルの「安心・安全」に対する思想はBEVでも何ら変わらない事の証明と言えるだろう。

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